プラダー・ウィリー症候群、この病気をご存知のかたは少ないと思います。約1万5000人に1人が発症するといわれる珍しい病気だそうです。私も知りませんでした。特徴は筋緊張低下、性腺発育不全、知的障害、肥満。この障害を生むのは15番染色体欠損によるものだといいます。
プラダー・ウィリー症候群のAちゃんは高校2年生の時に、遺伝学の権威H先生の紹介により、私の治療院で指圧治療を始めました。Aちゃんの脊椎側弯症は、筋力低下のために起きていると考えられるそうです。
整形外科の診断では彼女の側弯症は38度。担当医から、まずコルセットをすることを勧められオーダーしました(体型にピッタリ合うように作ります)。このコルセットは、脇から腰まで巻くことで側弯症を進みにくくする目的があるようです。ただ装着の “不快感” から外してしまう患者さんが多いそうで、重く強い圧迫感、動きの制約、暑さや痒(かゆ)さ、ことに女性にとっては外見上の問題、などを訴えられるかたが多いと聞きました。彼女も結局、使わなかったといっていました。
「手術」をするかどうかは、大変悩ましいことです。そこで、整形外科では治らないといわれている症状改善を、指圧で行ってみようということなのです。特別なケース以外は、十分可能性があると私は判断しました。
Aちゃんは、お母さんの運転で月に2回来院、指圧治療を受けることになりました。側弯症の指圧治療の効果が数字化されるまで、少し時間がかかります。その間、圧すことでまず捻れているそれぞれの椎骨が、ある程度正面向きになってきます。その後、S状ながら骨がきれいに並び始めます。ここから側弯の角度が計測可能になり、数字で確認できるので、改善が目で見て納得できるようになります。
当初は38度、半年後の検査で36度でした。そのまた半年後が31度に変化していました。
今回の結果は、診察日4月18日午前10時半に電話で知らせていただきました。お母さんの嬉しそうな声で、結果がよかったのだとすぐわかりました。
「何と! 21度まで回復していました」
すぐ隣にAちゃんがいることも、その嬉しそうな声で分かりました。
前述しましたが、プラダー・ウィリー症候群は、筋力低下が特徴的な症状です。側弯症も頻発するようです。側弯症の治療の中でコルセット装着は、かえって筋力低下の引き金にはなるのではないかと、圧す側としてはとても心配です。