「『599グラム児に脊髄縫合』― 慈恵医大、世界最軽量で成功 ―」
毎日新聞(H20.5.17)紙上で目に留(と)まった記事です。
二分脊椎症の障害を持って生まれた599グラムの超未熟女児に対して、生後2日目に、顕微鏡を使って開いた脊髄を縫いあわせる手術に成功したものです。女児は3285グラムに成育し、無事退院したという報道でした。直径2ミリの脊髄を、髪の毛の10分の1の太さの特殊糸で縫合したそうです。
二分脊椎症の発生率は10万人に6人の割合だといいますから、日本にもこの障害と戦っている大勢の患者さん(その家族も含めるとかなりの方々)がいらっしゃるわけです。
しかし一般には、この病名も症状も、知られていないのが現実だと思います。私も知りませんでした。不勉強といわれるかも分かりませんが、タツヤ君と会って初めて知ったのです。
やがては人口肛門、人口膀胱へ、さらに車イスの生活を余儀なくされることが彼等の行く道だというのです。現代医学でこんなことが常識とされていることに納得がいかず、今タツヤ君と症状改善のためにチャレンジしているのです。
私は指圧師ですから、身体を圧(お)しながら彼の変化を観察できますので、細かく身体の状況をチェックして、安全を確認した上で進行しています。
昨年9月から、桐朋学園大学教授の矢野龍彦先生と同講師の長谷川智先生が、タツヤ君のために毎月私の治療所に来て下さっています。彼を対象にした体操「チャレンジ・ナンバ」も順調に効果が上がり、好転ぶりはまるで奇跡を見るような思いです。
5月の体操指導は23日(金)に行われました。タツヤ君の身体の各部位はかなり緩(ゆる)んで、動きに大きな変化が出ています。
この障害の特徴の1つに、先足歩行があります。踵(かかと)が地面に着かずにつま先で歩くのですが、今ではほぼ踵が着きそうなほどに変わり、歩く後ろ姿を見ると、近所の人でも彼とは気がつかないほどです。
今月はその辺を徹底する体操が処方されました。彼にとっては非常に難度が高い体操です。しかし、「よしっ! 村岡先生! また来週から頑張ろう!」とやる気満々です。
タツヤ君の治療を決心してから、私は浪越指圧と骨体操(矢野・長谷川両先生が考案された体操)を併用して、高い効果を上げることに成功していました。
本来なら、本業である指圧のみのお付き合いでも十分なのですが、なぜ体操の分野にまで出しゃばってやっているかというと、常々仕事上感じていたことが、彼を通してハッキリつかめたからです。
それは「身体の基本は自己管理」という単純なことです。自分の身体のさまざまな「訴え」に、耳を傾ける習慣を彼に持たせたい、と強く思っています。障害を持つ彼は、人に手をかしてもらうことに慣れきっています。
基本指圧は大変有効なのですが、彼の場合100%頼りきりになってしまうのが目に見えていたのです。当然のことですが、私が一生彼のそばにいてあげられる訳ではありませんから、「頼り切り」を捨て、「自分の身体と対話して生きていく」ことを覚えて欲しいと願ったからです。その上でお手伝いできる分を指圧で、というのが私の考えなのです。
今はありがたいことに、矢野先生と長谷川先生が、ご厚意でタツヤ君のためのメニューを組み込んだ体操を考えてくださり、ご指導くださっています。そんなわけで私の指圧はギリギリ2週間に1度の割合で対応しています。
日本中、いや世界中には、かなりの数の二分脊椎症と戦っている方々がいるはずです。その方々の希望の星となれるよう頑張りたいと思っています。
毎日新聞(H20.5.17)紙上で目に留(と)まった記事です。
二分脊椎症の障害を持って生まれた599グラムの超未熟女児に対して、生後2日目に、顕微鏡を使って開いた脊髄を縫いあわせる手術に成功したものです。女児は3285グラムに成育し、無事退院したという報道でした。直径2ミリの脊髄を、髪の毛の10分の1の太さの特殊糸で縫合したそうです。
二分脊椎症の発生率は10万人に6人の割合だといいますから、日本にもこの障害と戦っている大勢の患者さん(その家族も含めるとかなりの方々)がいらっしゃるわけです。
しかし一般には、この病名も症状も、知られていないのが現実だと思います。私も知りませんでした。不勉強といわれるかも分かりませんが、タツヤ君と会って初めて知ったのです。
やがては人口肛門、人口膀胱へ、さらに車イスの生活を余儀なくされることが彼等の行く道だというのです。現代医学でこんなことが常識とされていることに納得がいかず、今タツヤ君と症状改善のためにチャレンジしているのです。
私は指圧師ですから、身体を圧(お)しながら彼の変化を観察できますので、細かく身体の状況をチェックして、安全を確認した上で進行しています。
昨年9月から、桐朋学園大学教授の矢野龍彦先生と同講師の長谷川智先生が、タツヤ君のために毎月私の治療所に来て下さっています。彼を対象にした体操「チャレンジ・ナンバ」も順調に効果が上がり、好転ぶりはまるで奇跡を見るような思いです。
5月の体操指導は23日(金)に行われました。タツヤ君の身体の各部位はかなり緩(ゆる)んで、動きに大きな変化が出ています。
この障害の特徴の1つに、先足歩行があります。踵(かかと)が地面に着かずにつま先で歩くのですが、今ではほぼ踵が着きそうなほどに変わり、歩く後ろ姿を見ると、近所の人でも彼とは気がつかないほどです。
今月はその辺を徹底する体操が処方されました。彼にとっては非常に難度が高い体操です。しかし、「よしっ! 村岡先生! また来週から頑張ろう!」とやる気満々です。
タツヤ君の治療を決心してから、私は浪越指圧と骨体操(矢野・長谷川両先生が考案された体操)を併用して、高い効果を上げることに成功していました。
本来なら、本業である指圧のみのお付き合いでも十分なのですが、なぜ体操の分野にまで出しゃばってやっているかというと、常々仕事上感じていたことが、彼を通してハッキリつかめたからです。
それは「身体の基本は自己管理」という単純なことです。自分の身体のさまざまな「訴え」に、耳を傾ける習慣を彼に持たせたい、と強く思っています。障害を持つ彼は、人に手をかしてもらうことに慣れきっています。
基本指圧は大変有効なのですが、彼の場合100%頼りきりになってしまうのが目に見えていたのです。当然のことですが、私が一生彼のそばにいてあげられる訳ではありませんから、「頼り切り」を捨て、「自分の身体と対話して生きていく」ことを覚えて欲しいと願ったからです。その上でお手伝いできる分を指圧で、というのが私の考えなのです。
今はありがたいことに、矢野先生と長谷川先生が、ご厚意でタツヤ君のためのメニューを組み込んだ体操を考えてくださり、ご指導くださっています。そんなわけで私の指圧はギリギリ2週間に1度の割合で対応しています。
日本中、いや世界中には、かなりの数の二分脊椎症と戦っている方々がいるはずです。その方々の希望の星となれるよう頑張りたいと思っています。