「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

二分脊椎症の女性(28歳)が自力排便へ、状態と経過は千差万別

2016年04月16日 | 素晴らしい指圧効果

 一昨年から申しこまれながら、しばらく待ってもらっていた二分脊椎症の女性(28歳・薬剤師)の指圧治療です。昨年5月からやっと始めたのですが、今回一段落したので報告をさせていただきます。 

 基本指圧を去年52日から、週1回行ってきました。当時、彼女は内反足の手術を受けるかどうか迷っていたときでした。彼女の全身状態は、とにかく「どうして、どこもかしこもつまっているの!」 と、言いたいほどの状態。今まで相当苦労したことでしょう。先ず身体のつまりを緩めなければなりませんが、それに結構時間がかかると覚悟を決めて挑みました。どうしてかというと、この状態では身体の機能がちゃんと働いているとは思えないからです。私は必死に彼女に向かいました。

 指圧治療は、順調に進んでいました。困っていた内反足の調子も改善の方向に向かい、体調も11回良くなっていくのにやり甲斐を感じていた矢先のことです。昨年63日、私が脳出血の後遺症で救急搬送され、入院することになってしまいました。当然彼女の指圧治療は中断です。
 
私の脳出血後の回復は数年間順調だったのですが、また振り出しに戻ったような気持ちになりガッカリ。現実に治ったと思っていた以前の症状が全てぶり返してしまいました。「言葉が出にくい」「手足の麻痺も‥‥」。忘れていた細かい症状も、まったく治っていなかったのだと知りました。
 
 
脳出血を起こした1年後あたりでしょうか、脳外科の主治医が私の顔を見て、不思議そうに、「本当は、テンカン発作が出ても当たり前なのだが、気分はどう?」と。その後も何も起こらず、順調にリハビリに励んでいたはずでした。今回は、無理をした自覚はありましたが、案の定なのでしょうか? テンカン発作を経験する羽目になってしまいました。
 
これは言葉にならない辛さです。いつになったら、回復するのか? 副作用の強い薬を飲む羽目になってしまいました。色々な生活の中の工夫で何とか凌いでいるのが現状です。
 
また、それ以上に皆様には、本当に御迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。

 そんな中でも、彼女の治療は最優先でした。
 
しかし思っていない嬉しい出来事が起きました。去年1121日、彼女は私の治療院で指圧の後トイレへ行ったとき、「何だろう?」と経験したことのない違和感があったようで、トイレから出たとき私の顔を見て、「???‥‥」。初めてのことなので不思議そうにして、言葉を失っていました。自力で排便が叶ったのです。この日は圧し始めから、「いつもと違う」というのが私の感覚でした。なるほど納得でした。 

 二分脊椎症患者の指圧治療は、状態と経過が一人ひとりかなり違うので、全身状態は圧しながら、注意深く観察していきますが、考えていなかった驚きや、感動的な場面に出会うこともしばしばあります。やりがいのある、手作り感のある仕事だと思っています。実はこの時点では、彼女は洗腸から脱していませんでした。本来なら洗腸の水を減らしていきながら、自力排便にもっていくことが多いのですが、やはり一人ひとり違うものだと、改めて強く思いました。これも初めてのケースでした。

 その後、洗腸の水を減らしながら、昨年128日からは24日間、洗腸せずに頑張りました。新年11日になってまた洗腸を1回行い、その後、指圧だけて便性の改善を目指していました。指圧をするごとに身体の変化が目で見ても分かり、骨格も緩んできたのがわかるようになってきました。詰まっていた腰や頸、腹部もだんだん納得できる状態になってきました。227日、来院時に80日間洗腸をしなかったので、本人の不安もあり久しぶりに洗腸を行ないました。この間も身体は順調に改善に向かっていました。排便に関わる重要な腰部の「詰まり」は取らなければならないと、奮闘していました。

 本年227日、来院した時に彼女が言いました。
 
「先日、お腹の張りが気になり洗腸をしたら、全てが以前に戻ったように、体調が最悪になってしまった。ただ1回の洗腸だけてこんなになるとは‥‥」
 
もう洗腸は、要らない身体になったことを自覚したようでした。
 
 
毎週施術していた指圧も、クールダウンしながら続けました。今回の私の治療目標である、詰まりの強い腰部「基本指圧伏臥位肩甲下部10点目」が、やっと緩んできました。
 
中から出てきた「コリ」の硬さは凄いものでした。例えが適切な表現ではないかも知りませんが、硬さが人間の筋肉でなく枯れ枝のように全く弾力がなくなっていました。すごいものです。この深部のコリは長年の洗腸による身体の負担からできたものだと思います。  
 
ちなみに、彼女は1500ccの水を使い、1日置きに洗腸をしていました。調子によって連日の時もあったといいます。うまくいかないときは、それを2回行っていました。バリバリ仕事をしている彼女ですから、時間のかかる洗腸を続ける負担から解放されたことだけでも、どれだけ楽になったでしょうか!

 目的に到達したので、彼女は指圧治療を「卒業」です。おめでとうございます。
 
また1人、指圧を通して、人生を変えた人が、生まれました。
 
基本指圧を学んで、本当に良かったと思った瞬間でした。ただ、なんとなく淋しくなりました。また時々指圧を受けに来てね。 

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