とりあえず5月6日まで治療院はお休み。不要不急な外出は自粛して、極力自宅にいるように心掛けていますが、私もスタッフもいろいろ大変です。新型コロナ問題がいつ収束するのか、仕方がないとはいいながら終点が見えないのがつらいところです。しかしこれを奇貨として、このところサボっていたブログを書くことにしました。
報告したいことはたくさんあります。
基本指圧研究会会員のIさんから以前、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)に悩んでる姪のYさんについて相談されました。眼球震盪(がんきゅうしんとう)の方とは、数人ですが改善治療に取り組んで喜ばれました。結果、指圧学校に入学された方もありました。
しかし眼瞼痙攣は初めてです。これは瞼(まぶた)を閉じる筋肉(眼輪筋)が、自分の意思とは無関係に痙攣する病気だそうです。症状は、まばたきが増えたり、まぶしさを感じたりすることから始まり、症状が重くなると瞼が開かなくなって、目が見えない状態にまで進んでしまうことがあるといいます。
症状を聞いてたいへんな病気があるものだと驚き、基本指圧で少しでもお役に立てるならやる価値があると思いました。
Yさんは中年のご婦人です。以前から晴れた日は眩しさを強く感じることが多く、涙袋のあたりが、ピクピク痙攣することが多かったそうです。このような事例は多くの方が経験されたことがあると思います。また頻繁に頭痛を起こすそうです。そのうえかなり頑固な腰痛もあると聞きました。
平成26年後半頃から瞼を重く感じることが多くなってきました。これが眼瞼痙攣の始まりでした。平成27年2月2日。ものもらいで近所の眼科を受診。この日から瞼の違和感の治療、ドライアイの点眼薬処方などを行ってもらいましたが、「眼瞼痙攣」かも知れないと東京のお茶の水・井上眼科クリニックを紹介されました。ここはどなたも知っている有名な眼科です。
この頃はふだん両瞼を開けるのがつらく、片目だけだと開けやすい状態でした。ですから、いつの間にか片目で物を見るようにしていたようです。当時、彼女はパソコンの入力作業をしていました。テッシュを折り絆創膏で左右交互に瞼を固定し片目だけ開けるなど色々工夫をしていたのですが、目を酷使したことに気づきました。このあたりから、状態は急激に悪化したといいます。
その年の6月、「眼瞼痙攣」の診断を受け、ボトックス治療を受けました。瞼の周囲に注射をするもので、頻繁には行えないのでしばらく様子を見ることになりました。治療後2~3日後には劇的に頭痛が改善されて楽になりました。
1ヵ月後には徐々に効き目が薄れてきました。そのあと眼鏡の処方。さらに休職。筋肉のこわばりを緩める漢方薬も処方してもらいましたが効果なし。そのうえボトックス治療も、楽な期間がだんだん短くなってきました。次は、アーテンの投薬治療を受けましたが、薬の副作用があまりにも強いので続かなかったとのことです。このような状況は、だんだん厳しさを増していきました。
彼女のご苦労話を聞くのも辛いものでした。私にとって、眼瞼痙攣を指圧治療で改善に向けるのは初めての経験です。紹介されたYさんは、鹿児島出身で、もの静かな雰囲気の方です。初対面の時から瞼を閉じたまま、お話をしておられました。瞼を開けているのがとても辛く、ついつい目を瞑ったまま道を歩いていくので、不意に物に激突することもあるそうです。危険極まりない状況です。
指圧の初診は、平成29年10月20日。1ヵ月2回の来院で、令和2年2月12日まで頑張ってかなりの効果を生みました。治療中、瞼を開けている時間が段々多くなりました。
待ち時間にスマホを楽しそうに操作し、何よりも指圧中目を開けて会話ができるようになりました。瞼を開けている彼女の表情を見て本当に嬉しく思いました。
Yさんは、念願だった神戸・京都の旅もお友達と楽しむことができました。ただ現在、コロナウイルス騒ぎのため、指圧治療は中断しています。もう一息だと思っていた矢先のコロナ禍です。
昨年12月4日。井上眼科クリニックの診察と検査の結果は、「両目を閉じるのはなくなった」と。
主訴に対しての指圧効果は果たしたと思っています。ただ口周囲のジストニアが、改善方向になっていたのが、残念です。(クリニックの診断では、顔面ジストニア診断から口周囲ジストニアに改善)
コロナ騒ぎが落ち着いたら、ぜひ治療を続行したいと思っています。
彼女が眼科の先生にカルテ開示を希望し、診療録をもら
ってきてくれました。「西洋医学的に治療するならボトッ
クス、アーテンなど」「指圧で改善するか経過観察しても
OKと考える」とのお話。「両目を閉じるのはなくなった」
ことは認めておられました。