「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

“すべてを管理”では身体の改善は難しい

2008年05月15日 | 素晴らしい指圧効果

  1カ月ほど前の話しになります。4月5日(土)の夕方、ひょっこり顔を見せたタツヤ君のお母さん。目を輝かせて「奇跡って本当にあるんですね!」と感激していました。
  実はタツヤ君が、2月19日に好転反応(症状がよくなるときに出る反応)と思われる熱を出しました。指圧ですぐに解熱できたのですが、発熱時は体力を保持するために、便秘になるのは正常な反応であることを、お母さんによくよく説明しました。
  しかしこれをきっかけに、また排便をお母さんが管理するようになったのです。当然彼は、自力で排便しなくなってしまいます。
 
 「タツヤ君、自分でできない?」
 「うーん? なんかできない」
  聞かれると、彼はとても困った顔をします。

 「自力で頑張ろうよ!」
 「うん」

  こんな会話が何度も繰り返されました。 納得のいかない日が続き、どこかに突破口はないものか、暗中模索の状態が続いていました。彼を少しでも自立へ向かわせたいと考える私、心配でなにかと手を出したい母親。その間に立って1番困っているのは、タツヤ君のようでした。
  意を決して、お母さんと今後の方針について話し合いました。

 「こちらは保護者の方針に従うから、今後の目標をどのようにするのかを決めましょう」
  私は治療方針の主導権を彼女に託しました。少々不安気な様子でしたが、彼女も「再度チャレンジしてみよう」と考えたようで、2人の気持ちは1つになりました。初心に返って、再度タツヤ君の体調改善を目指した挑戦が始まりました。

  4月17日(木)の夜、仕事が終わって帰り支度をしていたところに、彼女から電話が入りました。「タツヤが右頸が痛いと言っている」と心配そうでした。右の後頸部には、脳水を出すためのシャントが埋められているので、不安が大きくなるのだと思いました。
  細かく様子を聞いてみると、いつもの痛みだと分かりましたので、心配しなくてもいいと伝え、「どうしても痛がるようであれば少し局所を温めてあげれば楽になる」と言って、電話を終え帰宅しました。

  翌日、「あのあと腸内洗浄をしたら、頸の痛いのが治りました」と報告が入りました。それを聞いて、今にもやる気が失せてしまいそうになる自分をグッとこらえました。タツヤ君の今後の方針について、母親と話し合ったことがまたもや反故(ほご)にされたのです。
 「もうタツヤ君から手を引かせてもらおうか?」 こんな思いが頭の中に大きく広がってしまいます。なにかにつけて、排便の管理をしたがるお母さんの気持ちに、振り回されてしまう自分も情無いとは思っていますが、もう自力で排便できるようになっているのに、まだ手を出したがるのです。おそらく気になって仕方がないのでしょうが……。
  やむなくまた話をして、我慢して黙って見ているように母親に伝えました。今回の便秘も長かったので、そのためのニキビが増えていくのを、彼女と2人でじっと見守りながら、骨体操を続けさせていました。

  5月4日(日)、この日は17回目の全身指圧です。そこそこよい手応えがありました。夕方になって母親から排便があったと連絡が入り、ホッとしました。これでまた通常のペースが確保できると思います。
  1度洗浄されると、こんなに長く自力では排便できなくなってしまうのです。しかし今回は、母親の“じっと見ている我慢”が、以前よりは辛くなくできたようです。学習効果があったのだと思いました。
  いずれにしても、急を要することがない限り手出しはタツヤ君の身体の「自立」を妨げるのです。
  この後、5月6日には自力で排便。5月8日には、「なんと! 普通の大人がするような長い便がでた」とのことで、皆で感動しました。生まれて初めての出来事です。タツヤ君、彼はこれまでカチカチの小石のような便しか出なかったのです。いよいよ消化器自体の能力が変化し始めたのだ、と息を飲むような気持ちです。
 
  矢野龍彦先生にもさっそく電話で報告しました。心配の1つであった腎機能も、血液検査の結果では正常値になっていました。近々、きちんと医師の診察を受けられるようにしたいと考えています。

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