「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

指圧を志す以上、ぜひ「前頸部治療」に取り組んで!

2008年05月21日 | 指圧の活動

  浪越指圧の特長は「前頸部と腹部の治療」にあります。腹部の治療は他の流派でも施すことがあります。古法・按摩(あんま)でも、昔から腹部治療が行われていたようです。 
   中国古来の医学を漢方というのに対して、日本で独自に発達してきた医学は和方(わほう)と呼ばれていましたが、その和方も腹診が中心だったということで、書物も現存しています。  

  浪越徳治郎先生の指圧以前は、前頸部は「圧してはいけない箇所」と決められていました。私たちの職業は、以前はほとんどが眼が見えない人達ばかりでしたから、相手が失神しても分からないので、危険なためここを禁危としたそうです。 
  先生はリウマチで苦しむお母さんを治療していたとき、お母さんに「ここを圧して欲しい」と言われて、「病膏肓(やまいこうこう)のツボ」といわれる前頸部を発見したのです。浪越指圧が日本はもとより世界に広まったのは、その効果の素晴らしさからであることは、いまさら言うまでもありません。 
  治らないはずの難病が治ったり、見えなくなった眼が見えるようになるなど、奇跡のような効果を多数あげてきたのは、この前頸部と腹部の技術からです。当時浪越先生の親指に、目の玉が飛び出すほど多額の保険をかけて下さった方があったと聞いています。こんな高い効果を出したのが前頸部なのです。 
 
  しかし残念ながら、前頸部に関しての詳しい文献は、ほとんどないのが現実です。また、ここを圧してみよう、と正面から向かい合う指圧師も少ないのです。私の知る限りでも、ごくわずかの方が圧しておられるだけです。 
  技術的にかなり高度であることは確かですが、だからこそ学びがいがあるのです。指圧を志す方は、ぜひ前頸部に取り組んでみることをお奨めします。  

  今後前頸部について、感じたことをブログ上に書いていこうと考えています。ちなみに膏肓(こうこう)を膏盲(こうもう)と間違って読まれる場合がありますが、膏(こう)は胸の下の微脂、肓(こう)は胸と腹の間の薄膜を指し盲(もう)とは字が違います。「やまいこうこう」と読んで下さい。

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