明日からゴールデンウイークだ、と少しウキウキした気分でいた28日のこと。あれこれとやりたいことを考えながら仕事をしていると、「ちょっとお聞きしたいんですが」という電話が入りました。
この1年間ほど、熱心に指圧に通ってこられた若いお母さんからです。時々お母さんと一緒に来て、お友達になっていたY君が怪我をしたというのです。
幸い骨には異常はないということですが、口を開けることがまったくできないので、物が食べられなくて困っていました。指圧でなんとかならないでしょうか? というのがお母さんの訴えでした。
他ならぬY君のことです。ここのところ、いっさい断っていた残業をすることにしました。その夜、いつも元気なY君が、うつむき加減でお母さんに連れられて来ました。口が開けられないので、日頃の元気な挨拶もできません。
小学校新1年生のY君、学校にも慣れ、お友達も増えて毎日楽しく遊んでいるそうです。聞くと、この日も校庭で遊んでいたら、遊具の上のほうから、5年生の女の子がY君めがけて落ちてきたそうです。
その勢いで、彼は側の花壇のブロックに身体ごと打ちつけられて、顔の左半分に打撲と擦過傷を受けてしまいました。左胸と左腕にも打ち身がありました。顔の左半分に大きなガーゼが貼られていますが、その上からでも腫れかたのひどさはよく分かります。目も腫れて左目だけが細くなっていました。
左上肢から圧してみましたが、腋下(脇の下)の堅さと形が異様です。“痛いかな?”と心配していましたが、嫌がらずにちゃんと圧させます。ほどなく目の左右差がなくなりました。そばで心配そうに見ていたお母さんが、だんだんホッとする様子が伝わってきます。
お腹もパンパンに張ってふくらんでいましたが、圧すごとに弛んできました。仰向けで寝ているときに確認すると、足の指がガタガタに引きつれて、きれいに並んでいないのです。これは、新しい学校生活の疲れがでたものであることは、容易に判断できました。
これもついでにきれいに弛め、腹部、上肢、肩、背中、腰、足、と順調に弛みましたが、それにしたがい元気にふざけはじめたY君です。お腹も弛んで平らになりました。腋下が“これでよし!”という形に弛んだので、「ここまでかな」と思った瞬間、Y君が大きなあくびをしました。口がちゃんと開(あ)いたのです。
あとは、ふざけて圧させてくれません。可愛いY君としばらくふざけて楽しく遊びました。「家族でくつろぐゴールデンウイークもこれで大丈夫!」との手応えです。ゆっくり休んで、また元気に学校に通えますように!
この治療時間は、遊んだ分も含めて約20分ほどでした。子供の身体は、こじれていないので指圧効果がストレートに出ます。素直な子供に触れるとき、なにか心が洗われるような清々しさを感じるものです。
よい仕事ができるのは、基本指圧を学んでいればこそ! と、改めて感謝の気持ちが、湧いてきます。
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