先日、今年産まれた赤ちゃんを連れて、ヒョッコリ顔を見せてくれたMさん(23歳)。彼女は、妊娠中胎児の逆児(さかご)を指圧でなおしたのをきっかけに、指圧を受けながら元気な赤ちゃんを出産しました。
妊娠中、「母親になる」 という自覚が比較的薄かった彼女は、体調を整えるために生活指導までしなければならなかったので、口うるさくならないように気を使い、少々大変でした。臨月に入ってからは、「陣痛微弱」の可能性が大きいことが分かっていましたので、出産への不安を持たせないように、気を使いながら、生活の中での注意事項を守らせていたのです。
臨月に入ると、よい陣痛を呼ぶ指圧ができます。多忙な中でしたが、治療時間を彼女のために工面して、自然分娩を目指して一生懸命治療しました。
そのかいあって自然分娩で、しかも安産だったと聞いたときは、ホッとしてなんとも言えない達成感に似た喜びがこみあげてきたのを、昨日のことのように思い出します。
今、6月に予定日の妊産婦さんを2人治療しています。
Aさん(26歳初産)は6月30日が予定日です。仕事がら身体をかなり冷やしてしまっているため、全身状態はとても厳しいのですが、お産に向けた本人の一生懸命さは、すごくよく分かります。
仕事の都合で思うように治療が受けられずにいましたが、間もなく産休に入れるからと言っていた矢先、胎児が逆児になってしまったと連絡がありました。かなり不安そうな様子でしたので、さっそく翌日時間を作って施術しました。なにか無理があったようですが、治療により確かな手応えを得られたので、励まして近い内にもう1度診ると約束しました。
お母さんも赤ちゃんも一生懸命なのが、圧す手に強く伝わります。状態は改善し、施術者として納得のいく治療ができたと感じています。来週の検診は必ずクリアーできるはずです。
一方Sさん(35才)は、6月3日が予定日で2人目の出産です。最初のお産は、帝王切開。しかも赤ちゃんに身体的な異常があったため、ずいぶんご苦労な育児だったと想像しています。
2人目は、そんなことのないようにとの思いは、本人はもちろん家族の方々も同じでしょう。私も同じ気持ちで施術に当たっています。しかし病院の方針で第1子が帝王切開の場合、次のお産も安全のため帝王切開になるというのです。
納得がいきません。指圧により状態はかなり改善しているのです。これなら頑張れば十分いけます。彼女に色々な例を挙げよくよく話をしましたが、2転3転して結局病院の方針に従うことに決まりました。
初産で普通でない出産をしたくらいですから、身体状態は、まだまだ改善の余地はあります。これも何かの縁です、せめて少しでも良い状態で生んでもらえたらと考えて、施術時間を工面して対応していました。
先週までは、赤ちゃんも施術すると一生懸命動いて、良い位置になるまで頑張り、動きでメッセージ(反応)を私の手に送ってきていました。そのメッセージに従って圧すことで、母子共に全体状態が好転し、それは施術者としてもやり甲斐を感じる楽しいものでした。
しかし、今週は違っていました。こんなことになるなんて! 初めての体験でした。かなりのショックです。
「帝王切開は、5月27日に決まりました」と彼女からの報告です。「では、その前に自然な形で産まれればいいのか?」―― そんな想いが頭をよぎりました。
ところが、こんな体験をすることになるなんて! なんと赤ちゃんは、いくら圧しても、もうなんのメッセージも送ってこないのです。本当に驚きました。お母さんの気持ちに同調して、もう全てお任せなのです。
なんら努力もしなくなりました。これでは私の手に負えるものではありません。今後、苦労して時間の工面をする意味は無いかも? と感じ、鈴木先生に久々に指導を頂きました。結果、来週以降は、その時間をAさんのために充てようと決めました。
同じ妊産婦さんでも本当にいろいろです。どんな道を選ぶかは、お互いに個人の自由です。でも心から喜びを共有できる仕事を選びたいと、私は思いました。あの全く動かなくなった胎児の状態も、ある意味、私にくれたメッセージであったと感じています。
これも基本指圧で対応していればこその体験です。
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