「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

「考えなくていい。無理のない動きが効果をあげる」

2009年02月07日 | 指圧の活動
  浪越指圧の基本操作の中に、“上肢の伸展”という動作があります。仰向けの患者さんの腋窩から上肢の指圧をして、最後に腕を頭の上方まで軽く引っ張りながら伸展させる運動法なのです。しかし私は、長い間これを省略していました。

   私は膝が悪いために、長らくベッドを使って指圧をしていた時期がありました。ベッドで上肢の伸展をおこない、最後に患者さんの体幹横に腕を軽くポンと放した時に、患者さんの腕がベッドからはみ出ることが多く、なかなか巧くできません。そんな理由から、上肢の伸展を省略するようになっていたのです。
   鈴木林三先生の門下で基本指圧を学ぶようになってからは、ベッドを畳に変えました。しかし膝が悪いために、片膝で立ち上がる動作がスムーズにいかず、相変わらず“省略”は続いていました。

   ところが2週間ほど前に、大事なものを省略していることにフッと気が付きました。この動きは、まさに畳文化の所作なのです。これを省略してはもったいないことに突然気が付いたのでした。   さっそく試しに動いてみましたが、右上肢の伸展がスムーズにいきません。しかしこれをきちんとやることで、また自分の動きにプラスになると直感しました。床から膝を使って、スムーズに立ち上がることができたら凄い! 西洋人にはできない動きです。かつて日本人のその動きを見て、まるで軽業師のように見えたという話を聞いたことがあります。

   膝の悪い私こそ、生涯かけて“この動きができる”ことにチャレンジしてもいいのではないかと、強く思うようになりました。よりスムーズに動けるようになることに、とても魅力を感じるのです。膝の悪い私こそ、この動きを大切にすべきである、と強く思うようになりました。

   鈴木林三先生に上肢の伸展について聞いてみました。 「どう動くかは考えなくていい! 無理の無い動きが、受け手にも圧し手にも効果をあげる。学校で習う時のように、足をどうするとか手をどうするとかは考える必要はない、楽に動ければ効果があるのだ」

   やはり聞いてみるもんだなぁ。自信を持って楽に行うことにしました。「上肢の伸展」―― 患者さんへの効果はもちろん、自分の身体に対するプラス効果も期待して、今後はよりスムーズな動きを目指して修練していこうと思っています。また楽しみが一つ増えました。 

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