Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Chrome OSの揺らぐ立場

2010-11-24 23:59:59 | Thinkings

Googleの推し進める、オープンソースの名を借りた「Google OS」プロジェクト。スマートフォン用のAndroidとデスクトップ用のChrome OSの二つの矢をつがえ、OS市場に弓を引きました。

AndroidとChrome OSは、カーネルこそLinuxという共通点はあれど、キャラクター的には全く別のOSです。元々の対応プラットフォームの違いもありますけれど、Androidは従来のOSと同じく、ローカルのソフトウェアありきの設計で、ブラウザも多々あるアプリの一つという扱い。クラウドは各ソフトウェアとの連携という形で利用していくという、iOSやWindows Liveでおなじみの方法を主にしています。
一方Chrome OSは、もともとハードウェアリソースに余裕があり、ウェブにも常につながっている前提で設計されているOSで、売りは超高速起動と軽快な動作。アプリケーションはブラウザのみで、Googleその他の提供する、数々のウェブアプリケーションを便利使うためのOSです。

両者はほぼ同時期に開発が発表され、まずはAndroid搭載のスマートフォンが市場投入され今に至ります。Chrome OSも2010年第3か第4半期には登場すると言われていましたが・・・
思いの外、一本目の矢であるAndroidが、大きな成果を上げてしまったんですよね。本来ならChrome OSが射るべきところまで届く勢いで。

というのは、当初Googleが予想していなかったであろうタブレット市場が、ネットブックを過去の遺物に変える勢いで台頭してきている兆しが見えてきているのですね。タッチオペレーションに最適化されているAndroidは、結果的にタブレットにもうまくはまって活躍の場を広げているというわけです。
一方、ウェブ閲覧と軽作業が主な目的である、エントリー向けPCのネットブックはすっかり勢いをそがれてしまいました。Windows XPの提供が一段落したのもあると思いますけれど、今はWindows 7 Home Premiumが使える”普通の”モバイルノートの価格も下がっていますし、わざわざネットブックを選択する必要性が薄れてきています。

Androidという「身内」の存在と、タブレットの躍進とネットブックの衰退という「時期」の両面で、Chrome OSについてGoogle自身が打ち出した「キーボード搭載機向け」という方向性故に、その立ち位置そのものが危うくなっています。

そのことはGoogleも重々承知のようで、先日Chrome OSのリリース延期が発表されました。

GoogleのChrome OS、2011年にずれ込みか ITmedia

これについて、プリインストールマシンを提供する事を公言していたHPやDELL、そして積極的だったAcerも、「差し迫った理由が無い」などとChrome OSについてコメントを避けているようです。・・・ハードウェア要件について、超高速起動のために制約が多く、Googleの顔色をうかがわなくてはならないChrome OSプリインストールマシンをわざわざ作るよりも、Androidタブレットの方が将来性があるし、ノートPCはWindowsで良いと言う事なんでしょうか。
もうちょっとうがった見方をするならば、先日、Googleが自社ブランドのノートPCを発売?などとこのブログでも書きましたけれど(そして見事にそれは外れた#2010/11/25追記:β版を搭載して年内発売とかいう噂が。マジか?)、「お宅が自社でやるならうちは別にいいよ」という事なのかも。逆に「他がやってくれないから自社で出す」という判断だったのかも知れないとか、憶測はいくらでも出来ますよね。

今回の延期は二兎を追う者は一兎をも得ずといいますが、Googleは当面Androidに注力していくと言う意思表示なのかも知れませんね。