Googleがやってきたことの中で、これまで成功してきたプランは実は意外に多くはありません。しかし、成功したものは確実に、今後のGoogleの方向性を決めるための、戦略的な物ばかりでした。
ですから、ここ最近の中でもっとも大きな発表であるGoogle Chrome OSについても、その裏には何かしらの意図があるはず。それは、ネットブック市場を押さえようとか、自社のウェブアプリを普及させるためのより強固な足固めといった直近の事ではなく、もう一歩進んだ、もっとGoogleの根幹に関わるところにあると、発表があってから数日で思い至ったのですが・・・
つまり、それはGoogleの収益について。具体的に言うなら、ウェブサービスの有料化です。
Google Chrome OSはオープンソースのプラットフォームであり、かつウェブサービスに特化した=ローカルアプリケーションに頼れないOSです。それ自体ではなんらGoogleに対して直接的な金銭的利益を生むものではないし、ブラウザしか動かないので、関連ソフトウェアでもうけることも無理。となると、収益は、これまで通りウェブから得るしかないわけです。
ウェブからGoogleが収益を得る方法は、今日では二通りあります。
1.従来からの広告収入
2.クラウドコンピューティング
1はこれまで通り、検索結果に表示される広告のクリック収入です。Googleの柱ではありますが、逆に言えばほぼこれしかありません。広告市場がほぼ飽和状態である今、今後について明確な収益ビジョンが無いことが大きな懸念を読んでいます。つまり、これだけでは先行きが不安なのです。
事実この間のリーマン・ショックの時には大規模なリストラを行っています。
それを受けて、今後伸びて来るであろう手段がプラン2です。企業に向けてGmailのホスティングを行ったり、Google Docsを提供したりと、ウェブサービスを広範に提供して利益を上げようとしていますけれど、私の予想では、今後この動きが個人にも広がってくると思います。
と言いますのは、Google Chrome OSがローカルを使わない仕様になっていると考えられるから。動くのがすべてウェブアプリケーションならば、ローカルデータを管理するためのファイラーは不要として、ばっさり切り捨ててくる=ローカルファイルをユーザーが使用できない可能性は大いにある事です。
となると、ユーザーはウェブストレージを使わざるを得ないわけですが。例えば、一定以上のデータを・・・Gmailで1GB以上のデータを保持したい場合、料金が発生するとか、Google Docsで別のユーザーや企業のクラウドとデータを共有する場合にはオプションを購入する必要があるとか。もしくは、もっと単純に、ユーザーデータを保存するための、Googleのウェブサービス共有のウェブストレージを用意し、年間で利用料を徴収するとか。
単純に考えつくことはこれくらいですが、ユーザーが自分のデータを保持・管理するために、Googleにお金を払うという「パーソナルクラウド」の足がかりこそ、Google Chrome OSなのではないかと考えるわけです。これまで、他社の行ってきた有料のウェブストレージは成功しているとは言い難い状況ですが、環境から構築し、「使わざるを得ない状況」を作り出せばあるいは・・・
来年の半ばには、なんらかの答えが出ているはずです。