Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

2007-05-05 23:59:59 | Thinkings
 今、アメリカでペットがバタバタと死んでいるようです。それも市販されているペットフードが原因と言うことで、大きな社会問題にまで発展しています。
 私の家でも犬を二匹飼っています。彼らが、自分たちが与えたペットフードが原因で死んでしまったなんて事になると本当にやりきれない事でしょう。実際、アメリカの人たちも無念でしょうがないのではないでしょうか。

 では、一体ペットフードの何が原因で、ペットは死に追いやられなければならなかったのでしょうか?
 記事を読んでいくと、どうも話はペットだけで収まらないようなのです。

米ペットフード禍 中国ずさん管理 食品への影響懸念 Sankei Web

今年3月、米国内で販売された中国産の小麦粉を原料とするペットフードを食べたネコや犬が相次いで死ぬ騒ぎがあったが、今度はそのペットフードから有機化合物が検出され、鶏や豚の飼料にまで流用されていたことがわかり、食品への影響も懸念され始めた。

 ペットが死んだ原因は、原料の小麦に混入していた有機化合物でした。
 では何故、小麦に有機化合物が混入されなければならなかったのでしょうか。

メラミンはタンパク質の水準を高く見せかける効果があり、飼料価格を左右するタンパク質含有量を水増しするため、家禽の一大産地の山東省では、メラミンを混ぜた飼料が広く流通しているという。

 そう、メラミンは、小麦の価格を水増しするために混入されていたのです。成分を詐称し、さらに毒物を混入していたのですから、はっきり言って最悪の人災です。
 中国における残留農薬問題など、「食の安全」を軽視し、「目先の利益を追求」する姿勢は以前から問題になっていましたが、ここに極まれりですね。

 中国国内では日常的に行われているようなメラミン添加。はっきり言って、ペットと同じほ乳類である人間にも有害なのは分かり切っていますけれど、食肉用の家畜の飼料にもメラミン混入小麦が使われているとわかり、アメリカでは改めて騒ぎになっているようです。
 日本だって、中国から様々な食品を輸入しているんです。決して他人事ではありません。人間向けに輸入された小麦がメラミンに汚染されていたら・・・と考えると正直うすら寒いものがあります。

 このような「利益至上主義」の体質は、戦後の急成長期の日本でも同じように経験してきたことで、その過程で起きた様々な公害は、日本の汚点として歴史に刻まれています。
 他の先進国も同様。アメリカでもEUでも、同じように公害を引き起こし、いろいろな問題、訴訟をくぐり抜けて、今の厳しい基準があるのです。
 中国は、全くそれに学んでいない。先進国と全く同じ歴史をたどろうとし、あまつさえ周りの国にまで輸出という形で迷惑を掛けています。
 経済力向上、産業発展大いに結構。しかし、過去の歴史は軽視してはいけないでしょう。それが、100年先まで残る汚点となるならなおさらです。

 そして、日本は中国の姿を見て、今一度、過去の失敗を見直す時期ではないか・・・産廃問題や食の安全の問題に、今こそ向き合う良いタイミングではないかと思います。