Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

通夜

2004-11-14 23:56:02 | Life
 昨日の続きを。彼には申し訳ないと思うが、多分、私にとって忘れてはならない出来事だと思ったので、ここに記すことにする。

 父親の亡くなった彼と共に、高校でつるんでいた友人2人と通夜に出かけた。作っておいた礼服がこんな時に役に立つとは。正直恨めしい。この礼服を使うのは、順番から言って私の曾祖母が最初のはずだった。

 焼香の時に彼の顔を見ると、なんだか痛々しかった。

 喪主は彼の兄だった。
 動揺しているのか、何度も挨拶を噛んでいた。もし自分がそうだったら、あのように挨拶ができるかどうかも怪しい。あまり考えたくはない。

 式が一段落ついたので、彼に会いに行った。席を外して、仲間内で話をしたのだが、そこにはいくらかマシになったと言うことだが、とてもそうは見えないほど憔悴した彼と、その彼にかける言葉を探すうちに、驚くほど陳腐な台詞しか浮かんでこない自分がいた。
 告白する。彼の顔を見るのがつらかった。
 自分の未来の姿のようで、必死で涙をこらえる彼を見るのがつらかった。

 彼が「気を遣うな」と言ったが、その時に彼の彼女が「遣えるときに気を遣わせて」という趣旨の言葉を言っていた。その時の一コマは、印象だけがやけに心に引っかかっている。