別にカントに興味があったわけではないが、哲学にはちょっと関心があったので手にとってみた。にしても、いや〜難しい。原典よりはよっぽど易しいのだろうけど、何回か読んで噛み砕かなければ行けない本だ。そもそも哲学をお手軽に理解しようとすること自体がおこがましいのかな。
カントの生い立ちとともにカント哲学を紐解いていくが、キーワードとなるのはタイトルにもある「自分で考える勇気」ということ。自分で考えるということはどういうことかというと、先入観(イドラ)を捨て去ること。その先入観を捨てないことには新しい考えは生まれてこないと述べている。
しかし、読んでいて先入観とは一体何なのだろうと疑問が浮かんだ。極端な話、文字、言葉を知っている時点で先入観ともなりうるのではないかと。いずれにしても自分の持っている知識について疑う、決別することは言葉で言う以上に難しい。
もちろん本書では色々述べられているが、自分の中で整理、理解できていないことがたくさんある。
哲学というと日常生活とあまり結びつかず、不要とさえも思えてしまうが、決してそんなことはなく、平たく言ってしまうと目指すところは幸福なのである。しかも単なる幸福(最高善)ではなく、そこに道徳が加わった幸福(最上善)である。
実現できるかは別として、これらは人類にとって無視することができない普遍的なテーマである。もうちょう突き詰めていきたい。