ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『ようこそ映画音響の世界へ』

2020-09-26 22:25:07 | 洋画
常々映画における音響というのはどういうものなのかという疑問に思っていた。アカデミー賞にも音響編集賞というのがあるが、受賞作品をざっと見ると主要部門には引っかからない娯楽大作が受賞される傾向にある。だからアカデミー賞におけるがんばったで賞的位置づけなのかなと勝手に思っていた。
少なくとも私はこちらの作品とあちらの作品どちらが優れた音響だという判断はできない。アクション映画だと漠然とこの銃撃音、爆発音すげーみたいなのはなくはないが。観る人が観ればやっぱり違うのかな。そんな謎に満ちた映画音響の理解の手助けになればということで映画館へ足を運んだ。

実際映画音響に関してかなり勉強になる映画だ。映画音響の技術の進歩を映画史とともに紐解いていき、『スター・ウォーズ』や『ゴッド・ファーザー』といった過去の名作を引用しながら解説している。インタビュイーも音響のスペシャリストだったり、リンチ、レッドフォード、ピーター・ウィアーといった著名な映画監督だ。

で、映画音響の仕事というのも映画製作において非常に重要なウェイトを占めるということがよくわかる。考えてみれば当然のことだが、劇中で流れる音は全て現場で録ったものではなく、後から付け足すものがたくさんある。その音の選択、タイミング等を場面に合わせて設定しなければならない。

普段何気なく聞き流している効果音、セリフの一つ一つにプロの技術が詰まっていることに気付いている人は少ないんじゃないかな。少なくとも私はこの映画を観てそういう仕事をしている人、技術があることを知られてよかったと思う。