【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】3-03 機略縦横 難しい経営理論は有益か? 臨機応変に、自在に適切な策略を巡らす
四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。
■ 第3章 経営に戦略的企画力を
日本の経営者・管理職は、非常によく勉強をしていますが、耳学問が進みすぎて、それらに振り回されすぎているように思えます。いろいろな経営理論を聞きかじり、そのメリットのみが強調されたお話を聞き、消化不良を起こしていることに気がついていません。そのために「知っているつもり」「やっているつもり」という”つもり”が積もっていて、自社にとって最適な方法が提案されても「陳腐な理論」「古い経営手法」というような位置づけでかたづけてしまっている企業が多いです。
四字熟語の中には、【心 de 経営】の精神に則る、経営者・管理職の心の糧になる発想が多数見つかります。前章の思考法を用いながら、それを企業経営に活かすことが、“戦略的”な経営に繋がります。企業経営で欠けている【心 de 経営】をいかに読み解いて、戦略経営を行うかを感じ取ってください。
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日本の経営者・管理職は、非常によく勉強をしていますが、耳学問が進みすぎて、それらに振り回されすぎているように思えます。いろいろな経営理論を聞きかじり、そのメリットのみが強調されたお話を聞き、消化不良を起こしていることに気がついていません。そのために「知っているつもり」「やっているつもり」という”つもり”が積もっていて、自社にとって最適な方法が提案されても「陳腐な理論」「古い経営手法」というような位置づけでかたづけてしまっている企業が多いです。
四字熟語の中には、【心 de 経営】の精神に則る、経営者・管理職の心の糧になる発想が多数見つかります。前章の思考法を用いながら、それを企業経営に活かすことが、“戦略的”な経営に繋がります。企業経営で欠けている【心 de 経営】をいかに読み解いて、戦略経営を行うかを感じ取ってください。
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■ 3-03 機略縦横 難しい経営理論は有益か?
~ 臨機応変に、自在に適切な策略を巡らす ~
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「機略縦横(きりゃくじゅうおう)」の「機略」という前半の「機」は、「機を見る」ということから「タイミングを計る」という意味です。「略」は、「計略」「戦略」などという熟語にも用いられますように「はかりごと」という意味で、「機略」は、「臨機応変な計略、策略」という意味です。
「縦横」は「たてとよこ」ということから、英語で言いますと「フレキシビリティ」という言葉に相当します。「自由自在(じゆうじざい)」とか「勝手気まま」、という意味にも使えます。
少々脱線しますが、「城孤社鼠(じょうこしゃそ)」というのは、城に住んでいる狐、神社に巣くう鼠のように、あまり人間が手を出せないような安全地帯に身を置き、自由自在に振る舞うということから「権力者の陰に隠れて悪事をするもの」という意味です。中には、虎の威を借る狐のように権力者を背景に、勝手気ままなことをする上司もいます。
*
機略縦横は「状況に応じて、臨機応変に、自在に適切な策略を巡らすこと」を意味します。「自由自在」は、「自分の思い通りに行動する」ことを指し、「縦横無尽(じゅうおうむじん)」「縦横自在(じゅうおうじざい)」「縦横無碍(じゅうおうむげ)」も同じような意味です。
関連語として別項にありますように「臨機応変」とか「合従連衡」という言葉もあります。また、「機知縦横」という言葉もあります。「機知」「機智」は「その時その場合に応じて働く才知。人の意表に出る鋭い知恵。ウイット(広辞苑)」という意味で「機知に富む」というような使われ方をします。
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広辞苑第六版によりますと、「縦横」に関連する言葉として、四字熟語を含み、下記が紹介されています。
【縦横家】 中国戦国時代、諸子百家の一つ
【縦横無隅(じゅうおうむぐう)】四方八方
【縦横無礙(じゅうおうむがい)】どの方面にも妨げになるもののないこと
【縦横無尽(じゅうおうむじん)】どの方面にも限りがないこと
【縦横沙汰(じゅうおうさた)】いろいろの取り沙汰
*
「機略縦横」の反対が「頑冥固陋(がんめいころう)」です。「頑冥」は、「頑固で、ものの道理をわきまえない」、「固陋」は「頑固で見識が狭い」という、両者同じような意味の言葉で、それを重ねて用いることで、意味を強調する四字熟語です。すなわち「頑迷固陋」とは「頑固で、ものの道理も解らず、ものごとを正確に捉えて判断する能力がない」という意味で用いられます。
また同様に反意語として「四角四面(しかくしめん)」があります。もともとは「四つの角も四つの辺もみな同じ正方形、真四角」ということから来ています。「大変まじめ」なことから「まじめの度が過ぎてしまって融通が利かない」というニュアンスで用いられます。
*
経営環境は、日々変化をしています。従いまして「経営のポイントは、時代を先読みして、臨機応変に対応する」ことではないかと考えています。その変化に対応しようと経営者・管理職は、情報収集に血眼になり、必死に考え、それを実行しようとします。その対応策の一環として、「一所懸命」に勉強をする経営者・管理職が多く見られます。難しい経営理論は、彼らの重要テーマの一つです。
経営には、いろいろな理論がありますが、だからといってその理論をすべて採用すれば超優良企業、エクセレントカンパニーになれるというわけではありません。いろいろな理論を全て実行すれば完全な経営ができ、企業が成長するという経営におけます「王道」はないと言っても良いでしょう。残念ながら、世の中というのは「遺憾千万(いかんせんばん)」、「思い通りに行かず、残念なことが多く、心残りになりがち」です。
情報が氾濫している昨今、いろいろな経営理論を、とっかえひっかえ試してみる企業がいますが、中途半端な取り組みに終わってしまいがちです。また「どの経営理論もダメだ」と頭から諦めてしまっている経営者も多いと思います。
自分の会社にぴったりとマッチした経営理論でないと「隔靴掻痒(かっかそうよう)」、気持ちが悪いと言いますか、効果が今ひとつ出てきません。「靴を隔てて、痒きを掻く」と訓読みしますように、靴の上から痒いところを掻くのでは痒みはとれません。「隔靴掻痒」は、「歯がゆくじれったい」と言うことを表現するときに用います。同じような意味で「隔靴爬痒(かっかはよう)」と言います。「爬」は訓読みで「かく」と読み「掻」と同じ意味です。
中には、「羮(なます)に懲(こ)りて膾(あつもの)を吹く」というような経営者も出て、「経営理論なんて、どれも理屈の世界であって、現実の世界にはそぐわない」と自分勝手な解釈をしてしまう人もいます。
どのような理論でも、徹底して実行すれば何らかの成果が上がると信じています。徹底的に使いこなすことを充分にやりもしないで、「ダメだ」と決めつけることがうまくいかない原因となっていることが多いのです。
*
経営理論というのは、大学の先生等の研究者や、実務経験豊かな人達が作り上げていることが多いのです。それぞれが立派な方達ですから、その人達が作り上げた考えに基づいた理論ですので、全てがダメだと言い切れるかどうかはわかりません。しかし、それなりの根拠のある理論として評価できるものが多いのではないでしょうか。
「理論」というものは、何かの基本となることです。基本を踏まえた上で、応用を行うのと、自己流で何かをなすのとでは、結果として大差が出ることがあります。
ゴルフスィングの基本は、物理の力学に則って、クラブヘッドの最大スピードの時に、ボールに対して直角にクラブフェースを当てることが基本です。ところが、プロゴルファーの多くは、必ずしもこの理論に則ったフォームでゴルフをしているわけではありません。
上述の理論をベースにして、自分独自の方法を編みだして、ゴルフを行っています。例えば、往年のプロゴルファーで、アーノルド・パーマーという人がいました。彼のスイングは、腰が回ってしまい、標準的なスィング理論から外れ、見た目にもあまり美しいフォームをしたスィングとはいえません。しかし、ずば抜けた成績を修めましたプロゴルファーのひとりです。彼のスィングは、おそらく基礎的な理論に則った上で、改良したスィングなのでしょう。
このように、応用は、基礎理論の上にあってこそ、成功に繋がるのです。経営理論も、自己流ではなく、基礎理論を基に、自社にマッチしたやり方にカスタマイズできると成功の可能性が高くなります。
スポーツ用品メーカーが、理論的に完璧で、高価なゴルフクラブを使っても、それが万人にマッチするわけではないように、経営理論もどの会社にも当てはまるとは限りません。採用しようとしている経営理論が、自社の現況にあった方法を選んでいるかどうかについても見直す必要があります。
既製服のような経営理論は、なかなか自社の状況に合わないものです。自社の状況にカスタマイズして利用することも一つの方法です。ただし、カスタマイズを自分の都合の良いように解釈して行っては、生兵法はけがのもとになることを忘れないでください。自社の元凶をキチンと考慮に入れない中途半端な形で経営理論を取り入れ、中途半端な形でそれを実行に移すと失敗に帰したり、効果が出なかったりという結果になりがちです。
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~ 臨機応変に、自在に適切な策略を巡らす ~
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「機略縦横(きりゃくじゅうおう)」の「機略」という前半の「機」は、「機を見る」ということから「タイミングを計る」という意味です。「略」は、「計略」「戦略」などという熟語にも用いられますように「はかりごと」という意味で、「機略」は、「臨機応変な計略、策略」という意味です。
「縦横」は「たてとよこ」ということから、英語で言いますと「フレキシビリティ」という言葉に相当します。「自由自在(じゆうじざい)」とか「勝手気まま」、という意味にも使えます。
少々脱線しますが、「城孤社鼠(じょうこしゃそ)」というのは、城に住んでいる狐、神社に巣くう鼠のように、あまり人間が手を出せないような安全地帯に身を置き、自由自在に振る舞うということから「権力者の陰に隠れて悪事をするもの」という意味です。中には、虎の威を借る狐のように権力者を背景に、勝手気ままなことをする上司もいます。
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機略縦横は「状況に応じて、臨機応変に、自在に適切な策略を巡らすこと」を意味します。「自由自在」は、「自分の思い通りに行動する」ことを指し、「縦横無尽(じゅうおうむじん)」「縦横自在(じゅうおうじざい)」「縦横無碍(じゅうおうむげ)」も同じような意味です。
関連語として別項にありますように「臨機応変」とか「合従連衡」という言葉もあります。また、「機知縦横」という言葉もあります。「機知」「機智」は「その時その場合に応じて働く才知。人の意表に出る鋭い知恵。ウイット(広辞苑)」という意味で「機知に富む」というような使われ方をします。
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広辞苑第六版によりますと、「縦横」に関連する言葉として、四字熟語を含み、下記が紹介されています。
【縦横家】 中国戦国時代、諸子百家の一つ
【縦横無隅(じゅうおうむぐう)】四方八方
【縦横無礙(じゅうおうむがい)】どの方面にも妨げになるもののないこと
【縦横無尽(じゅうおうむじん)】どの方面にも限りがないこと
【縦横沙汰(じゅうおうさた)】いろいろの取り沙汰
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「機略縦横」の反対が「頑冥固陋(がんめいころう)」です。「頑冥」は、「頑固で、ものの道理をわきまえない」、「固陋」は「頑固で見識が狭い」という、両者同じような意味の言葉で、それを重ねて用いることで、意味を強調する四字熟語です。すなわち「頑迷固陋」とは「頑固で、ものの道理も解らず、ものごとを正確に捉えて判断する能力がない」という意味で用いられます。
また同様に反意語として「四角四面(しかくしめん)」があります。もともとは「四つの角も四つの辺もみな同じ正方形、真四角」ということから来ています。「大変まじめ」なことから「まじめの度が過ぎてしまって融通が利かない」というニュアンスで用いられます。
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経営環境は、日々変化をしています。従いまして「経営のポイントは、時代を先読みして、臨機応変に対応する」ことではないかと考えています。その変化に対応しようと経営者・管理職は、情報収集に血眼になり、必死に考え、それを実行しようとします。その対応策の一環として、「一所懸命」に勉強をする経営者・管理職が多く見られます。難しい経営理論は、彼らの重要テーマの一つです。
経営には、いろいろな理論がありますが、だからといってその理論をすべて採用すれば超優良企業、エクセレントカンパニーになれるというわけではありません。いろいろな理論を全て実行すれば完全な経営ができ、企業が成長するという経営におけます「王道」はないと言っても良いでしょう。残念ながら、世の中というのは「遺憾千万(いかんせんばん)」、「思い通りに行かず、残念なことが多く、心残りになりがち」です。
情報が氾濫している昨今、いろいろな経営理論を、とっかえひっかえ試してみる企業がいますが、中途半端な取り組みに終わってしまいがちです。また「どの経営理論もダメだ」と頭から諦めてしまっている経営者も多いと思います。
自分の会社にぴったりとマッチした経営理論でないと「隔靴掻痒(かっかそうよう)」、気持ちが悪いと言いますか、効果が今ひとつ出てきません。「靴を隔てて、痒きを掻く」と訓読みしますように、靴の上から痒いところを掻くのでは痒みはとれません。「隔靴掻痒」は、「歯がゆくじれったい」と言うことを表現するときに用います。同じような意味で「隔靴爬痒(かっかはよう)」と言います。「爬」は訓読みで「かく」と読み「掻」と同じ意味です。
中には、「羮(なます)に懲(こ)りて膾(あつもの)を吹く」というような経営者も出て、「経営理論なんて、どれも理屈の世界であって、現実の世界にはそぐわない」と自分勝手な解釈をしてしまう人もいます。
どのような理論でも、徹底して実行すれば何らかの成果が上がると信じています。徹底的に使いこなすことを充分にやりもしないで、「ダメだ」と決めつけることがうまくいかない原因となっていることが多いのです。
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経営理論というのは、大学の先生等の研究者や、実務経験豊かな人達が作り上げていることが多いのです。それぞれが立派な方達ですから、その人達が作り上げた考えに基づいた理論ですので、全てがダメだと言い切れるかどうかはわかりません。しかし、それなりの根拠のある理論として評価できるものが多いのではないでしょうか。
「理論」というものは、何かの基本となることです。基本を踏まえた上で、応用を行うのと、自己流で何かをなすのとでは、結果として大差が出ることがあります。
ゴルフスィングの基本は、物理の力学に則って、クラブヘッドの最大スピードの時に、ボールに対して直角にクラブフェースを当てることが基本です。ところが、プロゴルファーの多くは、必ずしもこの理論に則ったフォームでゴルフをしているわけではありません。
上述の理論をベースにして、自分独自の方法を編みだして、ゴルフを行っています。例えば、往年のプロゴルファーで、アーノルド・パーマーという人がいました。彼のスイングは、腰が回ってしまい、標準的なスィング理論から外れ、見た目にもあまり美しいフォームをしたスィングとはいえません。しかし、ずば抜けた成績を修めましたプロゴルファーのひとりです。彼のスィングは、おそらく基礎的な理論に則った上で、改良したスィングなのでしょう。
このように、応用は、基礎理論の上にあってこそ、成功に繋がるのです。経営理論も、自己流ではなく、基礎理論を基に、自社にマッチしたやり方にカスタマイズできると成功の可能性が高くなります。
スポーツ用品メーカーが、理論的に完璧で、高価なゴルフクラブを使っても、それが万人にマッチするわけではないように、経営理論もどの会社にも当てはまるとは限りません。採用しようとしている経営理論が、自社の現況にあった方法を選んでいるかどうかについても見直す必要があります。
既製服のような経営理論は、なかなか自社の状況に合わないものです。自社の状況にカスタマイズして利用することも一つの方法です。ただし、カスタマイズを自分の都合の良いように解釈して行っては、生兵法はけがのもとになることを忘れないでください。自社の元凶をキチンと考慮に入れない中途半端な形で経営理論を取り入れ、中途半端な形でそれを実行に移すと失敗に帰したり、効果が出なかったりという結果になりがちです。
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