■■【成功企業・元気な会社】 身体障がい者用の運転補助装置を広め「移動格差」なくす
■ 身体障がい者用の運転補助装置を広め「移動格差」なくす
◆交通事故で脊髄を損傷、車椅子生活を余儀なくされた自身のニーズに基づき起業したのがニコ・ドライブ(川崎市)の神村浩平社長だ。同社では『移動格差を解消する会社』を標榜して、格差解消のため、バリアフリー運転装置の開発、障がい者雇用の促進など六つの活動を推進中。「障害のある人たちが、行きたい時に行きたいところに行ける社会を創る」(神村社長)と、確たるビジョンを描き、ビジョン実現に向け突き進む。
◆同社が株式会社として立ち上がったのは2015年2月。その1年半前、神村社長は個人事業主として、同じニコ・ドライブの名称で、身体障がい者用の運転補助装置の通信販売を始めている。それは、大手自動車メーカーの技術者が定年退職後、考案・開発した、安価で簡便、高機能といいことずくめの装置で、「これは使える」と実感し、技術者と直談判のすえ販売を手がける。1年後、技術者は病に倒れ死去。技術者の遺志を継ごうと、法人化を図り、同装置の製造から販売まで一貫して携わるようになる。
◆手で踏めるアクセル、ブレーキ。ハンドコントロールと名付けた同装置は、下肢に障害を持つ人でも車を運転できるようにするもの。他社製の類似品が車両改造を要するなど手間暇、コストの負担が少なくないのに対し、3分で取り付けられ、価格は他社製の半値以下の10万円と大幅な負担軽減を実現。同社では個人向けと併せて、自動車教習所、カーディーラー、レンタカー店など事業者向け販売にも乗り出し、各業態での導入実績を少しずつだが積み上げている。「オーナー系企業が共感し導入してくれている」(神村社長)。
◆同社では、ハンドコントロールによる運転のバリアフリー化のほか、障がい者雇用の促進、パラスポーツの後援、障がい者差別解消法の啓蒙、開発途上国の支援、ユニバーサルツーリズムの推進の取り組みを同時並行的に進めている。例えば、雇用の促進では、ハンドコントロールの組み立てを障がい者施設に委託している。また、運転のバリアフリー化では、下肢だけでなく、さまざまな身体障害に対応する運転補助装置の開発にも力を入れている。
◆神村社長は16歳の時、交通事故で脊髄を損傷。その後、車椅子バスケ選手として米国に留学、半導体企業や外資系証券会社で働くなど多彩なキャリアの持ち主。キャリアを踏まえ、「大手では市場規模からして、この分野の事業化は難しい。社会起業家としてニコ・ドライブの取り組みを継続することに意義がある」と分析。その上で「2020東京オリンピック・パラリンピックまでに、海外でポピュラーな身体障がい者のレンタカー利用を日本でも自由に使えるようにする」と、目標を一つひとつクリアし、未来を切り開こうとしている。
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