先週金曜日にお会いした帝國製薬の村山社長。あれから土日とメールでやりとりしていた。そして今日月曜日午前中なら空いているというので、早速日本橋の東京事務所でお会いした。
知りたかったのは、売上高312億円、経常利益95億円、経常利益率30%の会社のIT要員がたった2名だという秘密だった。
社長の村山昇作さんは、元日銀で10年間日銀の情報システムを仕切ってこられた方。その前は日銀を代表するエコノミストで、調査統計局長も努められた。それが高松支店長時代に知り合った帝國製薬の赤沢庄三社長に「地域の発展のために来て欲しい」と口説かれ、日銀を辞めて社長になられた。
たった二人の要員で全社ITを担当しているコツを伺った。
1.すべてパッケージに頼る。一切カスタマイズはしない。
2.仕様書など書かない。
3.アドホックな現場からの帳票作成要求には即応する。体裁は無視。
4.トラブルでデータベースの内容を書き換えねばならないときも、熟知している二人に任せる。
5.オフコンや自動倉庫もあるが、手直しなどせず使い切る。サポート切れになっても安定稼働しているので構わない。故障に関しては、メーカから余ったパソコンや部品を貰い受けておき、交換する。それで設備の更新を一回スキップする。
6.社員はノートPCを持って世界中を飛び回っている。社長自身もリムーバルHDDを持ち歩き、数箇所にあるパソコンにつないで仕事をしている。データはすべてサーバ。HDDはメールのホルダだ。
7.サーバトラブルも、社員は会社の近くに住んでいるので、何かあれば出社して修復する。365日24時間稼働。
8.ITに限らない。人事部もない、法務もない、組織を作れば無駄が生じる。一人でたくさんの仕事をする。若手がめきめき伸びる。大企業に入って2年目と当社の2年目ではやってる仕事がまったく違う。どんどん成長する。
村山さんは、個人天文台を八ヶ岳に持っている。天体望遠鏡も自作する。追跡ソフトも自作する。今度天文博物館を作るという。私の友人の弟のプラネタリウム作者、大平君を紹介しましょうかと言ったら、是非にとのことだった。
話が発散したが、日本のITをもう一度ユーザの視点で見直すために、たいへん貴重な方に出会えた。「片貝さん、協力しますよ」と言って頂いた。
クーペさんは、自分のせいで25年前に別れた娘から手紙が来て、それがきっかけで生きる勇気が出て、立ち直った。生きていればいつかは会える。生きていたから会えたのですね。
こんなことを急に思い出したということは、最近は考えていないということだ。今は、還暦を過ぎて、むしろやることが明確になり、それを充実させることに集中できる。本気で生きられるのは、あと10年だろうか、20年だろうか。過去には、そんな時間はあっという間だった。それを思うとこれからの時間は重要だ。歳をとってはいられない?!。しかし、こんなことを考えていらるのも、家族や、会社関係や、友人達のお陰だ。ありがたいことだと改めて思う。