片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

痴呆の母に教わったこと

2008年04月21日 | こころ
これは友人の高橋さんが書かれた本です。
この中で、びっくり仰天する話があるので、紹介します。

母が競歩で日本新記録
高橋さんは、お母さんを、国立競技場で行われた「東京マスターズ陸上競技選手権大会」の3000m競歩に出場させました。お母さんはいつも高橋さんと散歩しており足腰には自信があったのです。そして気弱になっている元陸上競技選手だったお父さんに観客席で、トラックを何周もするお母さんの勇姿を見させて、元気になって欲しいとも思ったからです。
年齢別競技なので、83歳のお母さんは、多分ほかにエントリはないでしょうから、金メダルが取れることは確実です。ただ問題は30分以内で完走しなければなりません。練習で計測しても1000mを10分切れないので、きっと失格になり、金メダルはもらえそうもありません。でも、気弱になっている父の前を一周でも回ってくれれば、高橋さんとしては満足と思っていました。
NPO法人東京マスターズ陸上競技連盟に、痴呆であることを知らせておいたのですが、しばらくして、出場が許可されたばかりか、伴走者までつけてくれました。
いよいよ当日。お母さんは、全選手が完走しても、黙々と伴走者と歩き続けました。「ただいま競技を続けている選手は83歳の高橋文さんです。まもなくゴールです。」時計を見ると30分過ぎている。残り一周のとき、30以内であれば完走させるというのがルールなのだ、という審判団の話し声が高橋さんの耳に聴こえて納得。痴呆のお母さんは、盛大な拍手を受けてゴール。ほぼ時速6kmで歩いたことになる。日本新記録を集めたHPに、お母さんの名前が載っています。載っている場所は、3000m競歩 W80のところです。最後のほうです。

高橋さんは、私のブログに時々コメントを下さる高橋さんです。私たちの会合や飲み会は、いつもお母さんと一緒です。

綸言汗の如し

2008年04月21日 | こころ
綸(りん)とは組糸のことで、最初の細い糸が撚り合わさって太い組糸になる。天子(天皇)のことばは、最初は一言でも末端まで行くと重要な発言として動かしがたいものになる。身体から出た汗と同じで、元に戻すことはできないのだから、発言には注意すべしという教訓。
私には耳が痛い。思いついたことが口から出てしまうような人間なので。自分でも考えていなかったことが会話の中で口から出ることがある。前向きな発言なら、自分で発言を聴いて、なるほどと自分で納得したりする。しかし、結果として人を傷つけるような発言もしてしまう。自分では当然気付かず、あとから知らされて本意ではないと奔走することになる。無駄が多い。
この諺を私なりに座右の銘にしたい。