部屋の時計が止まっている。電池切れだ。電波時計なので、動いているときは正確無比。
時計といえば、子供の頃よく柱時計のぜんまいを巻いた。まだ背が高くないので、踏み台をして、背伸びをして、扉を開け、柱時計が垂直からずれないように押さえながら二つのぜんまいをキリキリと巻き上げる。一回巻いて何日持ったろうか。少しでも垂直がずれると振り子が左右同じに振れず、止まってしまう。かなり注意の要る仕事だった。
腕時計もひげぜんまいで動いていた。時計に正確に時を刻ませるのは根気が要った。職人の技術もすごいものだと思う。
それが、振り子が水晶発信機になり表示がデジタルになるという劇的な変化の時代があった。そして電波時計となり、日本の二箇所から発する電波を受信して表示すれば時計になってしまう時代になった。時計は今いたるところにある。私は腕時計をはずしてから何年になるだろう。
パソコンも生まれてから30年になるが、まだまだ進化を続ける。そして、パソコンという形を取らない製品が増える。私が時計を持たなくなったように、パソコンを持たなくても困らなくなる時代が来るだろう。