「ムサシ」
作 井上ひさし
演出 蜷川幸雄
シアターコクーン
土日のチケットがとれなくて、生協にでていた平日昼間のチケットをゲットして、一人劇場へと向かう。
故蜷川幸雄さんの3回忌追悼公演としてよみがえった今回の舞台だが、蜷川氏がご存命の時の上演は観ていない。
2014年の上演時に、武蔵役の藤原竜也さんがムサシと同じ35歳になったら再演しようと約束した当時のメンバーが欠けることなく勢ぞろいした、とのこと。
巌流島での決闘で、遅刻した武蔵にイラついて一瞬で負けてしまった小次郎。
実は手当を受けて、生き残り、6年たって復讐しようと武蔵が3日間禅の修行をする寺に現れる。
端正なお顔で思い込みの強いちょっと情けない溝端淳平さんの小次郎がとってもキュート。
住職の説得でとりあえず3日間の修行に参加することになっちゃう。
この間に一緒に修行に励む面々がなんとか決闘を止めようと画策する。
でも、この人たちは実は・・・
巌流島のシーンから、お寺のシーンに変わるとき、たくさんの木々がサワサワと動き出す。
木々の間を自分が走り抜けているような錯覚に陥る。
山道を走り抜けた先に、パーっと視界が開けてお寺が現れる。
これは、小次郎の目線なのかなあ、などと思ったりする。
ちょっと冷めた感じでイヤイヤ修行をしてるかのような藤原クンのムサシがくすっと笑える。
並んで修行する、吉田鋼太郎さんや白石加代子さんの存在感がハンパじゃない。
そこそこ存在感がある鈴木杏さんが、普通の人に見える。
さすがは井上ひさしさんの脚本だけあって、随所に笑いを散りばめながら、命の大切さをしっかりと伝えている。
意地とかプライドなどのために命をかけてはいけない。
とにかく、すべては命があってのことなのだ、と。
かくいう私も 昔何かで目にした
「死ぬこと以外はかすり傷」
と言う言葉を座右の銘にしている。
蜷川氏がご存命のときに、この舞台を観ておかなかったことが悔やまれる。
このところ、著名な方々の訃報が続いている。
残念なことだ。
私だって「いつか」を待ってられない年齢だ。
当たり前のことだけど、今できることやしたいことを後回しにしないで、一つずつ、こなしていかねば。
今回の素晴らしい舞台で残念なことがひとつ。
舞台終盤、シリアスなシーンで、後ろの席の人の電話の呼び出し音が鳴った。
それも、ちょっとおちゃらけている。
彼は休憩時間、連れの女性にそれは得意気に演劇について語っていたにもかかわらず、基本的なマナーも守れない。
残念な人だ。
みなさん、マナーを守って観劇しましょうね❗
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