「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

7軒の家(16)八ヶ岳西麓

2008-01-12 11:08:14 | 家の遍歴

今回はあるメガバンクからお金を借りる話である。結局、私は八ヶ岳西麓に新たに建てる山荘を、ブレイスの丸山さんに建ててもらうことに決めたのだった。そしていつも私についてまわるのが資金繰りの問題だ。ローンを利用する場合、普通は【家のプランの相談】→【設計図面作成】→【建築工事請負契約】(ここまでは設計士、工務店、ハウスメーカーなどと)→【完成した契約書、図面等の書面を持って借金の相談に行く】(最後のプロセスは銀行と)といった順序を経る。しかしここでは都合上、最後の部分、つまり銀行との交渉を先に書く。

丸山さんに図面と契約書を用意してもらった私は、それを持って銀行へと急いだ。大手メガバンクのひとつである。逗子市沼間の自宅の土地建物もその銀行の抵当権つきである。この時点で私の所有する不動産は2つ。ひとつはそのメガバンクが抵当権を設定している私の自宅。もうひとつは長野県東筑摩郡麻績村にある私の山荘である(先述)。これは村が所有する山林の地上権(通常の借地に多い賃借権よりも強い権利で抵当権の設定も可能)の土地に建てた丸太のログハウスである。これにはローン残債はなかった。逗子市沼間に自宅を建てる際のどさくさにまぎれて、わずかな残債を返してしまっていた。

メガバンクは私に以下の3つの条件で貸すと言う:
1.新しい山荘(土地建物)に必要な総額よりかなり少ない金額しか貸さない。
2.新しい山荘に対してのみ分離して貸すのではなく、自宅と新しい山荘の両方にまたがる抵当権を設定し、その全体に対して貸す。
3.なるべく早く不要となる古い別荘を売却し、その資金で一部でも返済して欲しい。

私は唸ってしまった。2.は構わない。これは取りっぱぐれの期待値を少しでも小さくするための先方の都合だ。私は借りられさえすれば良いのだ。問題は1.である。ローン可能な金額は私が必要な金額よりかなり少なかった。これではとりあえず土地は確保出来ても、建物が完成しない。3.は実現可能かどうかわからない。時は1998年だ。平成不況がいよいよ本格化し、巨大金融機関が破綻し続けていたあの頃である。長野県の北にある中古のログハウスを買おうなんて人は、どんどん減っていた。そもそもこのログハウスの売却が簡単に適当な値段で可能になるなら苦労はないのだ。四谷にある田舎不動産取扱い専門会社に、このログハウスの売却仲介をお願いしたが、売却契約の成立はいつになるかわからない。そういう前提で新山荘建築計画を進めねばならなかった。

丸山さんに相談した。「丸山さんと契約して、銀行からお金は借りられます。原村に土地も買えます。丸山さんに工事を途中までは進めてもらえますし、そのお金は支払えます。しかし途中でそれ以上のお金が支払えなくなる可能性があります。残り工事を進めて残額すべてを支払えるかどうかは、長野県麻績村のログハウスが売却出来るか否かにかかってますが、どうですか」と。

仮にログハウスが売れず、途中で丸山さんに支払えなくなったら、その時は銀行以外のローンを利用することに決定した。私もかなり調べて、消費者金融までは行かなくても、いろいろお金を借りる手段があることがわかったのだ。それにログハウスだっていつまでも売れないわけではない。調べてだいたい相場はわかった。どれくらいまで自分の希望価格を下げれば、売却が可能かも目処が立った。売却出来なかった時はその時のこと。また考えればいいやと。とは言え、それは私の勝手な算段である。しかし丸山さんはこれに同意した。

ちなみに建築家集団ブレイスは会社形態をとらない。施主は代表者丸山さんと一対一で契約を結ぶ。「ブレイス」はお店の屋号みたいなものである。ブレイスに所属し家を建ててくれる気のいい人達は皆、丸山さんと一対一で契約している個人だ。実はこれは施主にとってはなかなか良い形態である。大手ハウスメーカー等と比べれば、様々なコストは激減する。詳しくはまたいつか書こう。

一般に施主は工事を請け負った業者が、資金を支払った後、建物完成前に、倒産しないかと心配する。いわゆる信用リスクというものだ。でも工事請負業者だって、いい加減な施主が途中で契約の履行を渋り、資金支払いをストップさせないかと、もっと心配しているのだ。この施主(私のこと)の無謀な資金計画によく同意したものだと、丸山さんに驚いたし感謝した。

実は、その後丸山さんに山荘を建ててもらっている途中で、いきなり古いログハウスが売れてしまうのである。この売却資金を得たおかげで、追加的ローンを実行する必要もなくなり、八ヶ岳西麓の山荘建築計画はあっさりと資金繰りがついてしまった。何事も事前の調査、そしてある程度のところでの思い切りが必要だと実感した。
コメント
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