花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(6)

2014-12-09 22:33:32 | 展覧会
さて、ようやくカラッチ一族の展示にたどり着いた。メモを参考に画像をチェックしてみると、展覧会では気付かなかったことが見えてきて、自分の勉強になる。って、書く内容はかなり端折っているのだけれど(^^;

アンニバレ・カラッチ(Annibale Carracci, 1560 - 1609)はカラヴァッジョとともにイタリア美術における初期バロック様式を確立した画家であり、ボローニャ派の代表的画家である。アンニバレを中心とするカラッチ一族(兄アゴスティーノ、従兄ルドヴィーコら)の門下からは多くの著名画家が育っており、グイド・レーニ、ドメニキーノ、グエルチーノらを輩出した。

アンニバレ・カラッチについてはボローニャの展覧会やパラッツォ・ファルネーゼの展覧会でかなり興味を持つようになった。特にファルネーゼのフレスコ画やその下絵を観ること、アンニバレって本当に上手い画家だったのだなぁと思う。今回の展覧会では大作が出展されていないので、その優れた技量がわかりにくいかもしれない。

・《他の人物を伴う自画像》(1585)ブレラ美術館(ミラノ)

一説によると、向かって左から、父のアントニオ、アンニバレ、甥のアントニオ、とのこと。観る者に視線を向けるアンニバレに、一族を牽引すべき自分の役割を自覚しているかのような意志を感じる。あるいは、鏡の中の自分にその覚悟を確認している眼差しかもしれない。私的には初期のやや荒削りの自然主義的傾向が好もしい。
この作品を観ながら、ふとティツィアーノのロンドン・ナショナル・ギャラリー《時間の寓意》を想起してしまった。老人(ティツィアーノ)、中年(息子オラッツィオ)、青年(甥のマルコ)。アンニバレはティツィアーノの影響を受けているし、それに倣い自分の一族の《時間の寓意》を密かに描き込んだのかもしれない、と美術ド素人は思ってしまった。

さて、その隣に展示されていたのは、意外にもバチステッロ(Battistello)ことジョヴァンニ・バティスタ・カラッチョーロ(Giovanni Battista Caracciolo , 1578–1635)だった。バティステッロはナポリでローマから逃亡してきたカラヴァッジョの作風に強い影響を受けた、所謂ナポリ派のカラヴァッジェスキである。では、何故カラッチ一族と同じ展示室に作品が並んでいるのか?

ウィキペディアに興味ある記述があった。1618年、彼はナポリを出て、ジェノヴァ、ローマ。フィレンツェを訪れる。ローマでは古典主義を復活させたカラッチ派の影響下、自分のカラヴァッジョ譲りのテネブリズムとの融合を試みたらしい。

・《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(1612)ボルゲーゼ美術館(ローマ)

日本のボルゲーゼ美術館展で来日したことがあるので、ご記憶の方も多いのではないかと思う。カラヴァッジェスキらしい明暗の中にダヴィデが艶めいて佇む。
ダヴィデのこの主題はカラッチ派も多く描いていて、グイド・レーニ作品が有名かもしれないが、西美にもグエルチーノの同主題作品がある。しかし、やはりカラヴァッジョ作品の凄味には負けると思うカラヴァッジョ偏愛である(^^ゞ


カラヴァッジョ《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(1609-10)ボルゲーゼ美術館(ローマ)

カラッチ一族作品は次回に続く