花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(7)

2014-12-17 00:33:33 | 展覧会
アンニバレ・カラッチ
《狩人のいる風景》(1590頃)ボローニャ国立絵画館》(帰属?)

この作品を観ると、ドメニッキーノの風景画への流れを見ることができるように思う。ドーリア・パンフィーリ《エジプトへの逃避のある風景》(1602-04)に先行する風景画であり、まだちょっとねぇ、という感想を持ってしまった(^^;

・《洗礼者聖ヨハネ》(1594-95)ボローニャ国立絵画館

洗礼者聖ヨハネの背景となる風景描写が素晴らしい。特にヨルダン川(イタリアの川としか見えないけど)の流水表現に眼が行ってしまった。この作品はマーホンによる寄託作品のようで、コレクターとしての眼の確かさを再認識した。

風景画の歴史を語る時、必ずと言って良いほどアンニバレ作品が登場する。去年のヴェローナ「Verso Monet」展の時も、ニコラ・プッサンとクロード・ロランに挟まれ登場したし、2012年国立西洋美術館「ベルリン国立美術館展」の時も、アンニバレとライスダールとルーベンスが風景画で並ぶという、思わずニンマリする展示もあったし。風景画(物語の背景であろうとも)アンニバレの自然主義的な眼差しの表れのような気がする。彼の後にロランやプッサンが続くのだから。

・《復活した墓での聖女たち》(1590年ごろ)エルミタージュ美術館

エルミタージュからのアンニバレ出展作品ハイライトだ。復活後の空になった墓に驚く聖女たち。三人の聖女たちの身振りやキリスト復活を示す天使の造形など、アンニバレらしい作品だなぁと思う。

アントニオ・カラッチ(Antonio Carracci ,1583 - 1618)はアンニバレの兄アゴスティーノの庶子である。先に紹介したアンニバレの自画像に描かれている少年だ。ボローニャでの絵画修業の後、ローマでアンニバレの元で働く。

・《エウロパの誘拐》(1602-1605)ボローニャ国立絵画館

父アゴスティーノの元でドメニッキーノやランフランコらと共に学ぶ。だからか、どことなくドメニッキーノと通じる清明な光を感じる。と言っても、ヴィッラ・ファルネジーナのラファエッロ《ガラテアの勝利》の影響を色濃く宿しているように見える。

ルドヴィーコ・カラッチ(Ludovico Carracci, 1555 - 1619)はアンニバレやアゴスティーノの従兄で、彼らとともにボローニャで絵画アカデミーを創設する。

・《受胎告知》(1584)ボローニャ国立絵画館

初期作品だからか、ちょっとルネサンス風にも見える《受胎告知》だ。色彩的にほのぼの感があり、なんとなくコレッジョの影響を感じる。でも、この作品だけでルドヴィーコを語ることはできないよなぁと、なんだか可哀そうにも思えた。

ということで、急いでサックリと紹介したが、アバウト過ぎたようで、反省(^^;;