花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(9)

2014-12-30 23:42:27 | 展覧会
さて、禍々しくも美しい《フォロフェルネスの首を斬るユディット》の次に続いたのは…

・《歯抜き》(1608-10)ピッティ宮・パラティーナ絵画館

見物人たちは面白がり、歯医者(偽医者?)はこちらを見ている。画面からは場末の猥雑な雰囲気が伝わってくる。帰属問題は決着したのだろうか? 画面が痛んでいるだけでない、主題的にも筆致的にも、(真作であるならば)画家自身にさえ痛々しさを感じる作品だ。
2004年にサイトの方でナポリ「CARAVAGGIO: l'ultimo tempo 1606-1610」展レポートを書いたが、その時に拙いながら構図考察してみたのを思い出す。

・《リュート奏者》(1594頃)エルミタージュ美術館

カストラートの濡れたような瞳と歌う口元(のぞく歯と舌先の効果ったら!)。NYメトロポリタン美術館作品には無いぬめぬめ感が観る者の目と心を捉えて離さない。細い指先で奏でるのはアルカデルトのマドリガーレ。さぁ、あなたもご一緒に…大理石のテーブルの上に置かれたバイオリン。特に添え置かれた果物と花の瑞々しさが静物画を得意とする画家の真骨頂を遺憾なく示してくれる。久々の再会だったので、もうじっくり見入ってしまった。
エルミタージュ作品がジュスティニアーニ候のために描かれたとすれば、カラヴァッジョにとってMET作品のデルモンテ枢機卿よりも上得意だったということなのだろうか??

・《瞑想の聖フランチェスコ》(1606頃)バルベリーニ国立古典絵画館

この作品については2008年にトラパニ「L'immagine del divino」展の感想文で扱っているので、そちらをご参照いただけると嬉しい。すみません、はっきり言って手抜きです(^^;;;

・《聖ヒエロニムス》(1606頃)ボルゲーゼ美術館

この作品は2001年の東京都庭園美術館「カラヴァッジョ展」で来日している。カラヴァッジョは白と赤の扱い方がとても上手い。シンプルな色使いでいながら美しい。でも、一番凄いのは聖人の額に注ぐ聖なる光かもしれない。

カラヴァッジョ派作品
《バッカス》エルミタージュ美術館

作者はわからないが、カラヴァッジョの影響が強く見られる作品だ。私的には、ジョルジョーネ的風景に、ムキムキで濃い顔立ちのカラヴァッジョ風バッカスが、《洗礼者聖ヨハネ(笑うイサク)》或いは《テンペスタ(嵐)》の女性ポーズをとっているように見える、極めてキワモノ的作品に思える(^^;。このインパクトのあるアクの強さを褒めてあげたい(笑)。

ようやく、この「da Guercino a Caravaggio」展シリーズもあと1回を残すところまで来た。もしかしてメモし忘れた作品もあったかもしれないがお許しあれ。次回のニコラ・プッサンで終了予定である。今年中に終わらせたいと思っていただので、なんとか目途がついて、ほっ。でも、明日までに書かなくちゃ(^^ゞ