「小木曽 日本の情勢にも根本的な新しい展望が開かれますね。 とくに、朝鮮戦争のさなかに結ばれた日米安保条約は、その存在が大本から問われることになりますね」
「志位 日本共産党は『北東アジア平和協力構想』を提唱したさいに、この地域には日米軍事同盟、米韓軍事同盟がありますが、軍事同盟が存在するもとでもこういう平和協力構想を実現していこうという、緊急の課題として提起しました。 ですから、軍事同盟をなくすというのは次の課題になってくるわけですが、その展望が開かれてくると思います」
「もともと日米安保条約は、朝鮮戦争の最中に結ばれたものです。 朝鮮戦争が1950年に始まる。 在日米軍が朝鮮半島に出撃する。 『軍事的空白』ができたというので、マッカーサー連合軍最高司令官の指令で警察予備隊がつくられ、それが保安隊となり、自衛隊となった。 こういう流れのなかで1951年に結ばれたのが旧安保条約です」
「旧安保条約の第1条では、『極東の平和と安全』のために米軍基地を日本におくことができるという規定になっています。 それは1960年に改定された現行安保条約の第6条に引き継がれて、ここでも『極東の平和と安全』のために米軍基地を日本におくことができるとされました」
「その後実際には、在日米軍は、『極東』の範囲をはるかに超えて、~世界中に自由勝手に展開する拠点されていることは大問題なのですが、もともとの建前は『極東の平和と安全』なのです」
「ところが、朝鮮半島が非核・平和の半島になり、さらに6カ国がTACを結んでこの地域全体が戦争の心配がない地域になったらどうなるか。 日米安保条約と在日米軍の存在が根本から問われることになります」
「ですから私は、いま開始された平和のプロセスを成功させていく、その先には、日本共産党が綱領の大目標としている『日米安保条約を解消して本当の独立国といえる国をつくる』という大展望がいよいよ開かれるといっていいのではないかと考えています」
「そういう大きな展望ももちながら、開始された平和の流れを促進するために力をつくしたいと決意しています」
志位氏は、インタビューの前の段階で、「平和のプロセスを成功させるうえで何が大切か」について、次のように語っています。
その第1は、当事国が「過去の経験に照らしても、なによりも大事なのは、何があっても交渉を継続することにある」「合意を具体化し、誠実に履行する。 そのための真剣で持続的な努力が必要になる」と指摘しています。
そして、次の指摘が、私たちにとって、非常に重要だと受け止めています。
「米朝両国の努力、南北双方の努力がとても大切になるのですが、米朝、南北の努力だけにまかせて、見ているということではすまない。 ことは、北東アジア全体の平和と安定、さらに世界の平和と安定にかかわる問題ですから、関係各国、国際社会の協調した取り組みが大切です」
「さらに、各国政府が努力するだけでなくて、何よりも諸国民の世論と運動が決定的に大事だと思います。 平和を求め、核兵器のない朝鮮半島、核兵器のない世界を求める諸国民の世論と運動が、このプロセスを成功させる根本の力になります」
「私たちの取り組みーー日本における世論と運動もとても大事になってくると思います」