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再生エネ、欧州では政策迷走

2012-04-11 10:31:41 | しもきたインフラ
4/11フジサンケイビジネスアイが伝えております。

-再生エネ、普及か抑制か 買い取り価格 欧州では政策迷走-

 7月に始まる再生可能エネルギー発電の固定価格買い取り制度に向け、買い取り価格をめぐる議論が大詰めを迎えている。経済産業省の調達価格算定委員会には太陽光、風力などの各発電事業者の希望買い取り価格が出そろい、政府の想定を上回るケースも出てきた。先行して同制度を実施した欧米では、買い取り価格引き下げや量の制限など政策変更の動きが相次いでいる。電気料金の上昇率が上がっても再生エネ産業を振興して普及させるのか、それとも買い取り価格を抑えるのか。5月の大型連休前の決定に向けて、同委は難しい決断を迫られている。

 「(一般にいわれる)1キロワット時40円、20年間の買い取り期間では採算が合わない」。3月19日の同委で、ソフトバンクの孫正義社長はこう主張した。

 同社は全国10カ所以上に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を整備、計20万キロワット以上の供給力を計画する。ただ、買い取り価格40円、期間20年間で試算したところ、200カ所以上の建設候補地のうち9割以上は採算に合わず、建設を「見送らざるを得ない」(孫社長)とし、それ以上の条件を求めた。

 同委は、政府のエネルギー・環境会議が昨年12月に試算した再生エネの発電単価に、事業者の利潤を上乗せした買い取り価格を算出する。ただ、この試算には発電所建設に伴う調査費や電力を送電網に送る際の系統連系費などが含まれず、実際に発電設備を建設、運営する事業者側の認識とは隔たりが大きい。

 ■求められるきめ細かな制度設計

 実際、発電事業者からは高めの希望が相次いだ。地熱発電の場合、政府試算の単価をベースに8%の収益率を確保できる買い取り価格を算出すると、1キロワット時当たり22.84円となるが、事業者団体の日本地熱開発企業協議会は単価に連系費などを含め25.8円での買い取りを主張。日本風力発電協会も「風速不足や乱流など独自の事業リスク」を挙げ、政府試算(9.9~17.3円)の数倍にあたる22~25円を望む。メガソーラーも発電単価は最低30.1円だが、太陽光発電協会の希望額は42円と4割近い開きが出る。

 事業者側が“高め”を望むのは利潤確保に加え、「高いほど新規参入者が増え再生エネが早く普及する」との考えからだ。10年3月時点の経済産業省の試算だと、太陽光を1キロワット時42円、太陽光以外を20円で買い取ると、15年後には再生エネの年間発電量は約700億キロワット時に拡大。震災前の国内総発電量の約7%に当たり、09年度の1%から大幅アップする計算だ。

 ただ、それを支える電気料金も値上がりし、経産省の試算では15年後の年間買い取り費用は約8100億円、電気料金にして5%程度の上昇を見込む。今回の各事業者の希望を受け入れれば、それ以上の料金負担となることは確実だ。

 そもそも、政府は震災後の新たなエネルギー計画を議論している最中で、再生エネの具体的な普及目標も定まっていない。「ゴールなしに価格だけ議論するのはナンセンス」(アナリスト)との批判も根強い。

 先行して買い取り制度を実施した欧州の実情はどうか。2000年に導入したドイツでは、総電力消費に占める再生エネの割合が10年間で6%から16%まで拡大。特に風力の5倍近い価格を設定した太陽光は大ブームとなり、新興の太陽電池メーカー、Qセルズが08年に世界シェアで首位に立つなど産業界への波及効果も大きかった。

 しかし、買い取り費用が増大して電気料金が高騰。このため独政府は買い取り価格を引き下げたところQセルズの業績は急速に悪化、今月3日には経営破綻に追い込まれた。今年1月からは買い取り量が増えれば価格を下げる逓減制を導入するなど政策は迷走している。同様の混乱はイタリアなどでも起き、スペインに至っては買い取り制度をやめたほどだ。

 結局、「高値買い取りありきのブームでは再生エネの定着は難しい」(資源エネルギー庁幹部)。再生エネの普及と、表裏一体の関係にある電気料金とのバランスをいかに取るのか。欧州の轍(てつ)を踏まないためには、それを踏まえたきめ細かな制度設計が求められる。

-引用終わり-


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