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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ゆずる

2018-03-19 21:42:57 | 短歌/折句/あいうえお作文

 土下座から頭を上げるとまだ頭が見えた。そうかともう一度店長は深々と頭を下げた。これは我慢比べなのだ。土下座頭を上げてみると向こうにはまだ下がる頭が見えた。客はもう一度深々と頭を下げた。10以上数えて一呼吸を入れて店長は頭を上げてみた。あろうことか客はまだ頭を下げている。店長はあわてて頭を下げる。根比べに負けては店長の座を降りなければならない。客はそろそろ勝ちになったとみて頭を上げた。店長の顔がみえなかった。目の前の店長は一時も土下座を崩していないのだ。渋々と客は土下座の形を整え直した。店長は目を閉じた。敵の存在を消してもう頭を上げない覚悟を決めた。脳内で新しい座標を持った世界が開けた。矢倉と雁木の組み合いが始まった。


やさしさが
強制をする
どうぞどぞ
うまくわたれよ
風来坊や

折句 短歌「焼き豆腐」