眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

虫認証(アクロスティック)

2018-03-06 19:42:35 | 短歌/折句/あいうえお作文
カナブンは
過不足のない
身分証
一匹つけて
新館へ行く

折句「鏡石」
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あのおじいさん

2018-03-06 12:33:10 | 短歌/折句/あいうえお作文
「今日は誰も来ないねえ」
「この天気ではな」
「人が歩いていないし」
「駅前に新しいのできたらしいな」
「そうなの。今月?」
「少し前かな」
「広いの?」
「知らないね」
「何階建てくらいの?」
「さあ。よくは知らないよ」
「駅のすぐ側?」
「ドッグランの方だよ」
「そう言えばあのおじいさん最近みないねえ」
「おじいさん?」
「前は毎日来てた。犬をつれて」
「大きい犬?」
「白い犬だよ」
「ゆっくり歩いてたな」
「声大きかったね」
「ゆっくりだけど姿勢はよかったな」
「しばらくみない」
「何か入院したらしいよ」
「わるいの?」
「さあ。よくは知らないよ」
「そうなの。大丈夫かな。犬は」
「犬は逃げたらしいよ」
「逃げた? つないでなかったの?」
「どうだろう。そこまでは知らないよ」
「町の病院?」
「知らないって。名前も知らないし」

「あっ! 来た!」
「えっ?」
白い雪道の中から白い犬の集団が現れた。先頭にあの犬の姿があった。みんな口に骨をくわえている。リーダーの合図を受けて集団は店の前で足を止めた。犬たちに引っ張られて最後尾におじいさんの元気な顔がみえた。あのおじいさんだ。
「あ。お久しぶりです」
「いまドライブスルーに寄ってきたんだ」
コーヒーカップを片手におじいさんは笑った。


みないねえ
そないいうたら
さびしいねえ
さもありなんねえ
いないいないばあ

折句「ミソサザイ」短歌
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話せる文具(アクロスティック)

2018-03-06 11:55:52 | 短歌/折句/あいうえお作文
お前さん
人情売りの
煙草屋さん
いいえ私は
シャープペンシル

折句「鬼退治」
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おすすめ奇跡(アクロスティック)

2018-03-06 05:12:43 | 短歌/折句/あいうえお作文
気まぐれな
世界が生んだ
奇跡だと
レビューが歌う
いいから読んで

折句「キセキレイ」短歌
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お前だけに(アクロスティック)

2018-03-06 02:29:52 | 短歌/折句/あいうえお作文
お前さん
人気尽きたら
退任だ
いいえこれより
終身支配

折句「鬼退治」短歌
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語らう犬の生活

2018-03-06 01:35:15 | 折句の扉
誰かに取られるということもないけれど、犬は土を掘って自分の陣地の中に埋めた。2月の間に転がり込んだ過剰な贈り物は、みんな土の中に埋めてしまった。先のことを考えるというのではなく、身についた仕草を止めることができなかった。実際、犬は自分で埋めたものが好物でも宝物でも何であっても、自分でしたことを覚えていることはなかった。

いつもの散歩道の途中、犬は足を止めて注意深く嗅いだ。折句の扉はそこにはなかった。何か似たような匂いがしたが風のいたずらにすぎなかったかもしれない。また、しばらく行くと足を止めた。道行く人がその探求心に羨ましげな視線を投げかけた。いつもの散歩道の中から折句の扉は見つからない。もっと先へ行かなければならない。新しい道へ踏み出そうとした瞬間、強い力で引き戻される。見えていても進めない世界はどこにでもある。

3月の風が穏やかに吹く頃、犬は土を掘り出した。埋めるべきものは何も余っていない。ひたすら掘り進めると顔中が土だらけになった。出てきた土が盛り上がり、小さな城のようなものが幾つもできあがった。土とは異質のものに突き当たると、犬は嬉々として作業を加速させた。見たこともない不思議な形をしたものが次々と飛びだしてくる。
「アトランティスのかけらが出たぞ!」
犬は学会に向けて叫んだ。


気まぐれな
生活をした
木の下に
礼節はある
犬のなすまま

折句 短歌「キセキレイ」

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