眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

2秒ラジオ

2018-03-05 22:53:02 | 短歌/折句/あいうえお作文
ハンカチ1枚分のスペースがあれば眠ることができる、君は小さな小さな猫だった。耳が触れるとラジオが流れた。それより近くで低いうなり声が聞こえ、動揺の尾がスイッチを切った。再生されたのは2秒だったが、小さな猫にとっては200年ほどの重みはあった。その時の歌詞、DJの余談、リクエストのハガキ、癖になるメロディーが鮮明に残っていた。また、いつかスイッチに触れることもあるだろう。夢の広がりの中で君は歌っている。


尾にふれて
2秒ラジオを
楽しんだ
1畳ほどの
寝室のなか

折句「鬼退治」短歌
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超ホンダ(アクロスティック)

2018-03-05 18:40:26 | 短歌/折句/あいうえお作文
ハンドルは
今はもうない
音速で
街を行き交う
スマートホンダ

折句「バイオマス」短歌
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リセット&リスタート

2018-03-05 16:55:43 | 短歌/折句/あいうえお作文
バージョンを
1に戻そう
追いかけた
学びは逸り
過ぎましたから

折句「バイオマス」短歌
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AIジャッジ(アクロスティック)

2018-03-05 12:28:12 | 短歌/折句/あいうえお作文
鴉が巣にかえってくるように、君はいつもの場所にたどり着いた。壁という壁に手書きのメニューが貼られている。何でもある。とんかつもある。焼き魚もある。生姜焼きも、ハンバーグも、カレーライスもある。うどんもある。豚汁もある。鶏の唐揚げもある。何でもある中から1つを選ぶのは君の思うままだった。他のすべてを捨てて、たった1つを選ぶこと。厳しくも楽しくもある、最後の決断は君の意思だ。

「日替わり定食」
最も新しく書かれたメニューを君は選ぶ。君は誰よりもシェフの選択を信頼している。


AIが
時を定めた
囚人の
苦役は残り
302年

折句 「江戸仕草」短歌



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歌とビール(折句の扉)

2018-03-05 11:27:57 | 折句の扉

「あのねえ」フジさんは言った。
 少しは驚いてもらえるかと思って、僕は「千の歌を作った」ことをフジさんだけに教えた。歌について話せる人が現れるとその人のことを普通よりも身近に感じるようになる。フジさんの隣にかけながら、知らない人にビールを注ぎに行くのが嫌で、僕は落ち着かずそわそわしていた。
「歌というものは中身がなくちゃ……」
 数だけでは意味がないよとフジさんは言った。(千だろうが万だろうが同じ事か……)
 「意味」という言葉が、僕には難しくて理解できなかった。反応は予想に反してなかなか手厳しいものだった。本心を隠し上辺だけでほめることもできただろうに。それに比べれば遙かによいことだった。満足できるものなど何もなかったのだから。
「ああ、面倒だな」
「もうじっとしていなさい!」
 何もしなくていいとフジさんは言ってくれた。気持ちが少し楽になった。それから少しして僕は席を立った。最も遠いところにいる人のグラスにビールを注ぎに行った。見覚えもない人なのに、向こうは僕のことを知っていて何か不思議な感じがした。僕の小さい時のことを、父が若かった頃のことを色々と、色々と知っていた。知らない人たちのことが、突然身近な存在に感じられた。席を回って行く内に肩の力が抜けていくようだ。ここに知らない人など一人もいない……。もう父がいなくなってしまった、その代わりに、僕がここにいて、生かされているに違いなかった。


愛すれば
稀有なる夏を
ともにして
梅を蹴散らす
フジの歌声

折句「揚げ豆腐」短歌

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雨好み(アクロスティック)

2018-03-05 05:02:45 | 短歌/折句/あいうえお作文
晴れの日に
なれて酔いどれ
みぞれなの
すれ違うなら
霧雨がいい

折句「ハナミズキ」短歌
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