い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

九州新幹線全線復旧

2016年04月28日 22時31分05秒 | 鉄道員の愚痴

熊本地震の影響で一部区間で運転を見合わせていた九州新幹線が昨日の午後から全線での運転が再開され、博多から鹿児島まで再び繋がりました。
本数が少なく、徐行区間があり通常よりも時間のかかる臨時ダイヤでの運転ですが、全線で運転を再開したは少しずつ日常が戻りつつある証です。
被災された方にとって大きな力になるとともに復興に関わる関係者の移動が良くなるわけです。普段、新幹線や鉄道を利用しない人も大きな喜びを感じたことと思います。普段感じることがなくとも鉄道の力です。

4月14日
前震で熊本駅から車両基地に向かっていた回送列車が脱線し、設備への被害もあり、博多~鹿児島中央の全線で運転を見合わせました。
この時点では被害の全容がまだわからず、ゴールデンウイーク前の再開は難しいだろうという見通しでした。

4月20日
震災後初めての運転再開として新水俣~鹿児島中央間再開しました。
末端区間ではありますが、この区間では並行在来線である肥薩おれんじ鉄道と比べてかなりの時間短縮となる新幹線の利用者は多くいます。実は大きな意義のある運転再開でした。
新八代~鹿児島中央間の先行開業時から川内に車両基地があったこともこの区間の早期再開に繋がったものと思います。

4月23日
第二の運転再開として博多~熊本間が復旧しました。
九州新幹線で一番の需要がある区間です。新幹線復旧まで在来線で行き来した方も多くいたようですから復興の大きな一歩となる運転再開です。これで被害が多かった熊本~新水俣間を除いた南北2区間で運転を再開しました。

4月27日
14時台に熊本~新水俣間が運転再開し、九州新幹線全線が復旧しました。
復旧作業が大変スムーズに進み、全線での再開が繰り上がり全線再開を迎えました。当初ゴールデンウイークには間に合わないと言われていたことを考えると驚きのスピードです。

このように九州新幹線は運転を再開し、昨日の全線復旧を迎えました。
運転再開にむけて余震が続くなか関係者は脱線した車両を線路に戻し車両基地への移動をしたり設備の被害を把握し復旧を行いました。JR九州だけでなく様々な関係者が復旧には携わっています。
全線で運転を再開したとはいえ徐行はありますから通常ダイヤに戻るにはまだ時間はかかります。今後列車の運行に影響をあたえる大きな地震がこないとは言い切れません。
完全復旧はもう少し先となりますが、まずは全線再開できたことは大変嬉しいですし、関係者のみなさまは本当にお疲れさまでした。

『列車を走らせる』
鉄道会社として当たり前のことであり当たり前の風景です。でもそんな当たり前のことが実は凄いことなんです。
3.11の際、九州新幹線開業のCMに日本中が感動しました。また九州新幹線が熊本を、大分を、九州を、そして日本を明るくしてくれると思います。


福知山線脱線事故から11年

2016年04月25日 23時01分58秒 | 鉄道員の愚痴

福知山線脱線事故から11年を迎えました。

2005年4月25日9時18分
福知山線(JR宝塚線)塚口~尼崎間
制限速度を大幅に超えた列車がカーブを曲がりきれずに脱線・横転しマンションに激突
106名のお客さまと運転士が亡くなりました。

毎年、4月25日は『安全』とはなにか?という問いに自問自答しています。
安全は空気のように当たり前に存在するものではありません。1人の取り組みによって築き上げた結果です。

高校3年だった私も11年経ったいま、鉄道会社11年目に入りました。
当時を詳しく知らない世代が新入社員として入ってきています。高卒であれば小学校一年生だったわけですから無理もありません。
どの会社も若手への技術継承は避けては通れない課題です。悲惨な事故を知らないに伝えて、一人ひとりの「安全の感性」を高めていくことが後輩を育成する立場にある私の役割です。
世代痛ましい事故を忘れず、尊い犠牲を無駄にせず、鉄道の安全に生かしていかなくてはなりません。

第一報を耳にしたときは、保安装置などが整備されている時代になぜ凄惨な事故が起きたのか理解できませんでした。
鉄道聡明期に比べれば安全性は格段に上がっています。しかし、どんな時代も考えられない事故は起きます。「安全」に絶対や100%は存在しません。
必ず事故の芽や予兆はありますから、いかにそれに気づいて対処できるかです。それはやっぱり人間ではなければ出来ないことです。

『安全は輸送の生命である』
鉄道員なら絶対に知っている言葉です。明日からこの言葉をしっかり胸に刻んで乗務いたします。


平成28年熊本地震

2016年04月19日 00時50分37秒 | 日記

熊本を大きな地震が襲い、大変甚大な被害が出ております。亡くなられた方にお悔やみ申し上げるとともに被災されたみなさまにお見舞い申し上げます。
まだ収まる様子もなく不安は消えませんが、一日も早く安心できる生活が戻ることを祈っております。

当初、4月14日21時26分のM6.5、最大震度7の地震が本震とされておりました。
その後、4月16日1時25分の地震が最大震度は6強でしたが、M7.3と規模が大きくこちらが本震となりました。

【前震】4月14日夜  M6.5 震度7
【本震】4月16日未明 M7.3 震度6強

マグニチュードと震度は必ずしも比例するものではありませんから地震の規模を表すマグニチュードで本震と前震を判断したことになります。
東日本大震災の際も2日前に大きな地震があり、あれは前震だったわけです。

前震で記録した震度7はもっとも強い震度で、日本では今回を含めて4回しか観測されていません。
阪神淡路大震災(1995/01/17)
新潟県中越地震(2004/10/23)
東日本大震災(2011/03/11)
この3回に今回の熊本地震の前震です。

立っていられず、飛ばされるけともある。固定していない家具のほとんどが移動したり倒れ、飛ぶこともという揺れですから強く激しいかがわかります。

熊本城の瓦がすべて落ち、南阿蘇では山が崩れて道路には亀裂が入っています。さらに大分県内でも被害がでています。倒壊した家屋の映像を目にすると5年前の記憶がよみがえり、心が痛みます。
鉄道も九州新幹線が脱線し、豊肥本線は土砂で埋まっています。南阿蘇鉄道や熊本電鉄なども被害が出ています。
大変心配ですが、各社とも復旧にむけて全力で対応しています。少し時間は掛かるかもしれませんが、きっと復旧し被災者に明るい話題を提供し、復興の支えになることと思います。

3.11では九州新幹線開業のCMが東北そして日本に元気をくれました。こんどは全国が九州に元気を届けるときです。
がんばろう熊本
がんばろう日本
こんなときこそ希望をもって頑張りましょう!


半蔵門線ベビーカー引きずり事故

2016年04月07日 01時54分46秒 | 鉄道員の愚痴

すでに多く報道されていますが、4月4日に東京メトロ半蔵門線九段下駅でベビーカーの引きずり事故が発生しました。
車掌がドアにベビーカーが挟まっていることに気づかず運転士に発車の合図を送り、ホームの非常停止ボタン車内の非常通報ボタンが押されたにも関わらず列車を止められませんでした。幸いにもベビーカーに子どもは乗っていませんでしたが、ベビーカーはホーム先端の柵にぶつかり壊れて線路に落ちたそうです。もしベビーカーに子どもが乗っていたらと思うと本当に恐ろしい事故です。

このような引きずり事故はお客さまのケガや最悪死亡につながりますから厳しく指導されていますし、車掌として絶対に起こしてはいけません。車掌は一人で乗務するようになったばかりだったそうですが、新人だからといって許されるものではありません。
ドアが閉まった際の確認で気づかなくてはいけませんが、仮に気づかなかったとしても2つの非常ボタンが押されたときにどうして止められなかったのでしょうか。ある程度スピードが出ていると躊躇してしまうのかもしれませんが、あってはならりません。

なぜ止められなかったのか、少し見習いの養成という観点からみてみます。
ドアに挟まっていたり非常停止ボタンが押されたら列車を止めるというのは必ず指導されますし、シミュレーターでも同様のシチュエーションを想定した訓練を行います。
見習い中に非常ブレーキを掛ける経験があるかというと、そのような事態がなければ一度も経験しないこともあります。実際の動いている列車で非常ブレーキを掛けるという体験がなければ、新人車掌は頭で分かっていても咄嗟に行動できなかったのかもしれません。

同様の事故はいつどの駅で起きてもおかしくないというのもまた事実です。
ベビーカーだけでなくカバンなどもドアに挟まっても検知することができませんので、十分注意しなくてはなりません。一つの列車の運行に携わり、安全を担う責任はとても重いものです。気づかなかった止められなかったでは車掌として失格です。
今回の事故がそうであったと言い切れませんが、ドアに挟まるケースでは駆け込み乗車であることが大半です。(今回は駆け込み乗車ではないという報道もあります。)駆け込み乗車は非常に危険であるということをお客さまにも改めて認識していただければ幸いです。
どうか、このような事故を防ぐためにもゆとりあるご利用をお願いいたします。


鉄道会社の新入社員研修

2016年04月04日 15時46分07秒 | 鉄道員の愚痴

みなさまこんにちは。
都心部はこの週末がお花見のピークだったようです。
残念ながら職場の花見は勤務で行けず、仕事中に眺める沿線の桜で我慢します。(我慢といっても沿線の桜もとても美しく十分楽しんでますが…)
みなさんはどこで花見をしましたか

新入社員、新入生のみなさま、おめでとうございます
私の働く鉄道会社でも4月1日に入社式が行われ、新入社員はいま研修中です。今日は鉄道会社の新入社員研修について話します。

大抵どの会社も研修施設を有していますのでそこで行われます。
研修の内容は幅広く、会社のこととして就業規則福利厚生のほか偉い人の有り難い話を聞くこともあります。
業務に関することとして営業規則運転法規を勉強します。営業規則とはきっぷのルールです。代表的なものとしてきっぷの発売や乗り越し精算などについてです。運転法規は列車の運行に関するルールで、信号や合図など駅での業務に関するものが中心です。
さらにビジネスマナーや救急救命講習を受ける授業もあります。近年ではコンプライアンスについても1コマ設けているようです。

研修という朝9時から夕方まで勉強の毎日が続くわけです。社会人となったのになんだか学生の延長のような感じがするわけです。期間は会社により差があるようですが、我が社では1ヶ月弱(3週間程度)で4月末には各配属先に着任していました。
現場でも見習いとして先輩から直接の指導を受け、仕事を覚えていきます。研修で学んだことが通用しないのが現場で、とても苦労しました。

少し脱線してしまいましたが、新入社員研修について簡単にご紹介しました。
私も会社に入って11年目に突入しました。新入社員研修を受けたのも10年前です。もう若手なんて言えない立場なのは間違いありません。