い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

脱線事故から12年

2017年04月25日 22時46分35秒 | 鉄道員の愚痴

鉄道事業者に所属するものとして今日ブログを書かないわけにはいきません。

4月25日 9時18分

きょうもこの瞬間がやってきました。
107名の尊い命が失われた福知山線脱線事故から12年です。

制限速度を大幅に超過してカーブに進入し脱線転覆し沿線のマンションに衝突しました。
なぜ運転士はブレーキを操作しなったのか。余裕のないダイヤ、企業風土や日勤教育などさまざまな背景がありました。
どんな原因や背後要因があったにせよ、事故を起こしてはならないですしお客さまの命を奪っていい理由にはなりません。絶対にあってはならないことです。
また事故後の対応にも問題がありました。列車防護や負傷したお客さまの救護が適切に行われていませんでした。

あまり知られていませんが、事故直後、現場に接近する対向列車を止めたのは通行人の方でした。現場近くの踏切で事故を目撃した方が昨日ご紹介した非常停止ボタンを押したことで、対向列車は現場よりも手前で停止することができました。
本来列車防護は事故発生後、乗務員が真っ先に行うものですが、運転士は運転席に閉じ込められたままのため行うことができない状況でした。車掌は防護無線を操作したものの動作せず、そのほか発煙筒などによる列車防護を行っていません。
列車防護が行えないなんてあってはならいことですが、それが当時の状況です。あのときもし踏切の非常ボタンが押されていなければもっと悲惨なことになっていたかもしれません。

私は、いままでに事故現場を3回訪れいます。
とても辛く重たい空気を感じます。マンションに残るキズが凄惨な現場を伝えています。

鉄道で働く方は必ず一度は訪れてください。
鉄道で働くということは何なのか。我々の職務・職責とはなにか。
もし事故を起こすとどうなるのか。もし事故が起きたらなにをしなければならないのか。
安全に絶対や100点満点はありません。でもそれを目指していないなといけません。


非常停止ボタンは躊躇なく押してください

2017年04月24日 23時02分18秒 | 鉄道員の愚痴
4月15日に京急の八丁畷駅前の踏切で痛ましい事故が起きました。踏切の警報機が鳴り遮断機が降りているにも関わらず踏切内に留まる高齢の男性とその男性を助けようと踏切に立ち入った銀行員の男性の2名が列車にはねられて死亡しました。
報道によると高齢男性は自殺の疑いがあり、銀行員は列車が通過する直前に踏切に入ったようです。お二方の御冥福をお祈り申し上げます。

銀行員の見てみぬふりをせず助けようという勇気や気持ちは賞賛されるものですが、鉄道員である私は単に美談で終わってしまうことを懸念しています。

残念ながら今回の事故では踏切に非常停止ボタンがあったにも関わらずこれが使用されていませんでした。
列車が運行されている線路に立ち入ることは非常に危険な行為であり、私たち鉄道員も許可が必要で安易に入ることはできません。危険であるから列車を止めて安全を確保しなければいけないのが線路に立ち入る際の鉄則であり、年々厳しくなっています。
事故が起きた際に付近の列車を止める列車防護も同じです。現場の安全を確実に確保するためには列車を止める。そして止まったことを確認するしかありません。


私からみなさんにお願いしたいことは一つです。

駅のホームや踏切には非常停止ボタンが整備されています。(一部整備されていない場所もあります。)
みなさんが危ない!列車を止めなきゃいけないと思ったら躊躇せず、速やかに押してください。

踏切で人や車などが立ち往生している。閉じ込められた。
ホームで線路に転落したお客さまがいた。
線路内に障害物がある。
など、こういった事態に気づいたときは直ちに列車を止めないといけないですから非常停止ボタンを押してください。

非常停止ボタンを押すと専用の赤信号が光り運転士に異常を知らせます。電車は自動的にブレーキが掛かるのではなく、運転士が赤信号を確認してブレーキを掛けます。
列車がかなり近づいていたり、万が一赤信号を見落としたりすると列車の停止が間に合わず現場を通り過ぎる可能性があります。なので停止の確認も重要なんです。

非常停止ボタンは躊躇なく押していただきいのですが、最近では賠償請求されるという話が出回っているようです。
お客さまや通行人など異常時に気づいた方が速やかに確実に列車を停止させることのできるものが非常停止ボタンです。
危ないと思って押したものに関して賠償請求されることはありません。結果的に空振りになっても同様です。
あくまで賠償請求されるのは何も異常がなくイタズラで押した場合のみです。ですので押した場合には、そのあと駆けつけた係員になぜ押したのか説明してください。そうすれば賠償請求はされません。


今日お伝えしたいことをまとめます。
非常停止ボタンは危ないと思ったら躊躇なく押す。
押したら駆けつけた係員に理由を説明する。
イタズラでなければ賠償請求はされません。
以上3点です。
どうかよろしくお願いします。

4月特有の列車遅延

2017年04月23日 18時02分30秒 | 鉄道員の愚痴
桜はすっかり散ってしまいましたが、過ごしやすい日々が続いています。
鉄道各社は新入社員研修がおわりそろそろ配属先での見習いが始まるころですね。

4月は連日、朝の通勤通学の時間帯は遅れが発生しています。
ラッシュに慣れていないお客さまが一つのドアに集中したりすることで、いつもより乗り降りに時間を要するようになります。1駅数秒の遅れでもそれが雪だるま式に膨らみ数分の遅れにつながります。
さらに気分の優れないお客さまの救護や傘やカバンがドアに挟まったり、それにより非常停止ボタンが押されることもあります。1回あたり1分前後で対処できるものであっても複数の駅で連続して発生すると10分を超える遅れになることも珍しくありません。

4月特有の遅れもゴールデンウイーク明けには嘘のようになくなります。
毎日のように列車が遅れてご迷惑をおかけましたが、あと少しで落ち着くと思います。どうか週明けも余裕をもったご利用をお願いします。

国鉄分割民営化から30年

2017年04月11日 21時55分35秒 | 鉄道員の愚痴
今日は季節が逆戻りしたかのように冷え込みました。都心の桜もそろそろ終わりですね。

新社会人や新入生がラッシュに慣れていない時期の雨とあって乗降に時間を要してしまい、今朝の8時代は10分を超える遅延が発生しました。
ご迷惑をおかけしますが、4月中はいつも以上に余裕をもってご利用ください。よろしくお願いします。

さて、この4月で国鉄の分割民営化・JR誕生から30周年から迎えました。
ニュースや雑誌などでも特集が組まれました。それだけ大きな出来事から長い時間が経ったということです。

30年前は産まれていませんので国鉄を知らない世代です。書籍などで知識はあるものの実際に見たわけでも利用したこともありません。
私より下の世代はもちろん知るわけがありません。上の世代でも記憶にあるのは40歳以上の方ではないでしょうか。ざっくり分けると半分の国民が国鉄を知らないという時代になったわけです。

7社に分割され民営化し誕生したJRがいまどうなっているでしょうか。

■JR北海道
北の大地全域を担当。保線データの改ざんや連続する脱線事故などここ数年は暗い話題が多いです。
自社で維持できない路線を公表し関係自治体と協議が始まっています。

■JR東日本
首都圏・信越・東北を管轄し、東京圏という無敵の収入源があり優等生。
エキナカやSuicaなどにも力を入れており本業をおろそかにしていると思われる一面も。

■JR東海
東海道新幹線と中部地方を管轄
大動脈東海道新幹線の収入を武器に在来線を維持している。リニア新幹線の建設も始まっている。
一番鉄道会社らしい鉄道会社かもしれない。

■JR西日本
北陸・近畿・中国地方を管轄。
アーバンネットワークの緩急接続ダイヤが得意。中国地方を中心にローカル線も多数抱えている。


■JR四国
四国全域を担当。
JR北海道と並んで軟弱である。維持困難路線について今後協議を行いたい模様。

■JR九州
九州全域を担当。
昨年完全民営化を果たし三島三社の長男的存在。D&S列車と呼ぶ観光列車の導入を積極的に行っている。バスとの厳しい競合の中、選ばれる鉄道作りを行っている。

■JR貨物
唯一全国を管轄する。
大半が第2種鉄道事業者としてJR各社の線路を使っている。列車キロが長く、ダイヤが乱れるとなにかと冷遇されがち。
近年はモーダルシフトが推進され追い風が吹いている。

こんな感じでしょうか。

本州三社と三島三社で経営状態が別れてしまいました。
路線維持困難路線を公表したことでJR北海道が注目されましたが、四国や九州だって他人ごとではありません。本州も廃止が決まっている三江線の例があり、まったく無関係とはいえません。

経営安定基金の運用益で赤字を補填するという民営化のスキームが成り立たなくなってきています。

「ローカル優先のサービス」「明るく、親切な窓口」「楽しい旅行をつぎつぎと」
「会社間をまたがっても不便になりません」「長距離列車もなくなりません」「ローカル線もなくなりません」
という国民との約束も残念ながら守られなくなってきているような気がします。
JRになって便利になったことも多々ありますが、決してそればかりではないことは忘れてはいけません。

4月<平成29年度>スタート

2017年04月03日 20時26分26秒 | 鉄道員の愚痴
4月に入り年度も変わり平成29年度になりました。
都内では3月21日に開花した桜が昨日満開になり各地見頃を迎えています。平年にくらべ1日早く、去年より2日遅い満開ですが、誤差の範囲内ですね。
上野、王子、吉祥寺、浅草など花見客で大いに賑わっているかと思います。

そして新社会人・新入生のみなさん、おめでとうございます
当社にもたくさんの新入社員が入ってきました。といっても私たち乗務員の職場に新入社員が配属されることはないのでフレッシュ感はありません。
これから新入社員研修を経て、駅やメンテナンス職場などに配属されます。私も12年目に入ったわけですが、フレッシュ感はなくとも明るく楽しくやっていきますよ〜

入社式は早いところでは4月1日の土曜日に、遅くいところでも月曜日の今日(4月3日)に行った会社が大半ではないでしょうか。
さらにこの先、4月7日(金)と4月10日(月)には入学式が集中します。

通学定期券は学生証の確認が必要で、券売機で発売できないため定期券うりばが一年で一番混み合います。
大変ご迷惑をおかけしますが、1時間以上待つこともありますので、定期券の購入は時間にたっぷり余裕をみてください。
また通勤定期券は券売機でも購入できる会社が増えています。券売機なら定期うりばよりもずっと待ち時間が少なくなりますのでぜひご利用ください。