い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

京急車掌の欠乗事故

2015年10月18日 01時03分19秒 | 鉄道員の愚痴
先日、京急で車掌が列車に置いていかれ、ひと駅走って追いついたことがニュースになりました。
京急では停車中のホームの放送も車掌が行うため、ワイヤレスマイクを携帯しています。車掌は北品川駅でドアを閉めて運転士に発車よしのブザーを送ったあとにマイクをホームに落としてしまい、拾うと降りたところで列車が発車してしまったようです。
発車よしのブザーを送っておりますから運転士は何も問題がありません。今回の場合は車掌が運転士に発車を待ってほしいと伝えてからマイクを拾えばよかった事象であると思います。

運転士に発車を待ってほしいと伝えるには、すぐに発車する状態ですからまずは列車を止めること。つぎに運転士に事情を伝えることです。
列車の運転は運転士の職務ですが、車掌も列車を止めることはできます。車掌弁と呼ばれる非常ブレーキを掛けるものがあります。
これは到着や発車の際に顔を出して安全を確認している際にお客さまが列車に接触したときなどに使います。紐やスイッチを引くことで非常ブレーキが掛かります。
車掌弁を使用すると運転士も何かあったな?というのは分かりますが、具体的に何が起きたのかはわかりません。そこで運転士と車掌が直接連絡を取り合う電話(連絡マイク)で詳しい状況を伝えます。

こうしてしっかり手順を踏めば置いてきぼりになることはありませんでしたし、遅れも数十秒で済み大事になることはありませんでした。
この車掌はまだ若手で経験年数も1年とのことですので、マイクを落としたことに慌ててすぐに拾おうとしてしまったのでしょう。同じ車掌として気持ちは十分理解できますが、こんなときこそ冷静な判断が必要です。

今回のように車掌が担当列車に乗務できなかったことを『欠乗』(けつじょう)といいます。
車掌はドアの開け閉めと放送をするだけが仕事ではありません。事故が起きた際に併発事故防止のため付近の列車を止める列車防護も重要な仕事です。列車防護係員がいない列車を運行してしまったのですから欠乗は決して結果オーライで済まされるものではありません。

今回、京急では処分はしないそうですし、私も処分すれば解決するとは思いません。必要なのは再発防止です。
うっかりマイクを落とすことはベテランでもありえます。そんなときに最悪の事態を考えて、いかに冷静に判断し安全に対処できるかです。
各メディアで大きく取り上げられて本人は辛い思いをしているはずです。はやく気持ちが落ち着くことを祈っています。

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