い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

東京で積雪23cm

2018年01月28日 01時03分49秒 | 鉄道員の愚痴

もう一週間が経とうしておりますが、1月22日(月)は東京で23cmの積雪という大雪になりました。いまだ日当たりの悪い道端には雪が残っています。
雪が止んだと思ったら最低気温が-4℃という48年ぶりの記録がでました。厳しい寒さに耐えて乗務しております。

22日と23日は「間引き運転をすおります。る理由」(2013年2月12日)という記事へのアクセスが多くありました。
JR東日本は20年前の1998年の大雪で駅間で立ち往生する列車が相次ぎ、勝手に線路を歩くお客さまがでて大混乱しました。その教訓から大雪の時には駅間での立ち往生を防止するため間引き運転を行うようになりしまた。JR以外の鉄道会社でも同様の理由から間引き運転をします。
こうして過去のブログに関心が寄せられ、少しでも鉄道の事情を知っていただけたのであればうれしい限りです。

それでは、1月22日はどうだったのか、簡単に振り返ってみます。
週間予報がでたときから22日は雪の予報が出ており、時間とともに大雪予報に悪化していきました。前日には、2週連続で積雪27cmを記録した4年前の2014年並みの大雪となる可能性と報道されておりました。
降り始めた雪は4年前と似た降り方で大雪は間違いない状況でした。雪が降り始めた段階で多くの会社が帰宅指示を出したため、午後には都心部の多くの駅で入場規制が実施されました。
ラッシュ時に比べて輸送力が劣る日中帯にピーク時間帯並みかそれよりも多い利用者が押し寄せたのです。
こんなときに柔軟に列車を増発できないのは鉄道会社の抱える課題ではありますが、車両や乗務員の手配、ダイヤの決定など、そう簡単に増発できるものではありません。

降雪時にはブレーキの利きも悪くなるため、いつもよりも早めにブレーキを掛けます。数十秒ながら停車までに時間がかかりますから、小さな遅れがちりも積もってダイヤ乱れに発展します。
また入場紀規制を行うような混雑ですから乗り降りにも時間を要します。こうしてトラブルなどがなくても段々と遅れが増えていきました。

降雪時、列車の運行に影響を与えるトラブルは、ポイントが切り替わらなくなることパンタグラフが上がらない/下がらない架線の切断というのが主です。
ポイント不転換の対策は、融雪カンテラや電気融雪機などのポイントのレールを温めるものがあります。降雪量が多かったり、通過する電車の揺れで雪の塊が落下したときなどは対応できないことがあります。そうなると係員が現地に行き雪かきをします。
パンタグラフはこまめな除雪が一番の対策です。特に車庫に停まている車両は走行している車両とは違い、そのまま積雪していきます。湿った関東の雪ではかなりの重量になります。
架線関係は、雪の重みでパンタグラフが架線から一時的に離れたり、凍結により通電できなかったりします。最悪の場合、架線が切断します。そうなると復旧には数時間かかりますから最悪です。

降雪時にはこのようなトラブルが想定されるわけですが、今回は、いままでの経験と教訓による対策の甲斐もあり、架線切断は発生しませんでした。ポイント不転換による一時的に見合わせはありましたが、すぐに係員が対処し運転再開することができました。
ブレーキ扱いや混雑による雪だるま式の自然発生した遅延と合わせて最大1時間前後の遅れはあったようですが、長時間に渡り運転を見合わせたり、駅間で立ち往生する列車はありませんでした。

一斉帰宅による入場規制などでご迷惑をおかけしたものの、記録的大雪であってもこれだけ輸送を確保できたことはとても好事例になるのではないかと思います。
ただ、雪に対する設備はまだまだ弱いのもまた事実です。豪雪地と同様の設備があれば、さらに安定性が向上することは間違いないわけですが、数年に一度のことにどこまで設備投資をするのか、というのは経営判断と社会的要請によるところです。
「出勤して列車が動いているうちに早めに帰宅すればいい」から「交通機関は動いていても休む」という判断もまた必要なのではないでしょうか。各企業や学校のしかるべきポストにいる方が判断すべき事柄です。

久々に長々と書いてしまいしたが、大雪に対応したみなさま、そして足元の悪い中、とても時間がかかって帰宅された利用者の皆さま、本当にお疲れさまでした。
もしかすると来週の中頃にまた雪が降るかもしれないようです。どうか大雪予報にならないことを祈ります。