い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

痴漢の疑いで線路に立ち入り

2017年05月28日 10時54分53秒 | 鉄道員の愚痴
いまの時期、昼間は半袖でちょうど良くても朝晩は少し肌寒く感じるため、特に泊まり勤務の際は服装に悩むことがあります。
空調の設定が難しいのもいまで、時間帯にもよりますが、冷房を入れると寒く、切ると暑く感じることが多いようです。
こまめに車内に入って確認することが必要ですが、人によって感じ方が異なるため本当に苦労します。

さて、少し前になりますが、電車内で痴漢をしたと疑われた人が線路内に立ち入り電車が遅れることがたびたび発生しニュースになりました。
痴漢は立派な犯罪であり、許されるものではありませんが、女性側の勘違いや男性をゆすりお金を得ようとするなど、冤罪の場合もあるのもまた事実です。
この件について我々鉄道員という立場から少しお話ししたいと思います。

痴漢があったという申し出を受けると鉄道員としては警察を呼び対応をお願いせざるをえません。
犯行を目撃していないわけですから私たちが「やった」「やらない」を判断することはできません。痴漢という犯罪行為を受けたという申告を受け、解決できないのですから警察に対応してもらうほかありません。

双方を事務室に案内し、警察の到着を待ちます。
この間の対応は難しいところですが、女性は泣いていることもありますから「もう大丈夫だから安心して」と心のケアをすることもあります。女性社員がいれば女性に対応してもらうほうがいいですね。
男性側は逃げたりしないように気をつけるわけですが、私たちが「やった」と決めつけないことは重要です。

もし目撃者がいれば協力をお願いします。同じく警察の到着までお待ちいただくか、連絡先を伺い後ほど警察から連絡してもらうことになります。
痴漢に限らず事故やトラブルがあった際は当事者だけでなく目撃者が居れば双方の主張の信頼性も増しますし、何かとスムーズに進みます。

ネット上には『やっていないならば逃げるが勝ち。事務室に行き警察がきたら冤罪の場合でもやったことにされる』という情報があるようです。
繰り返しになりますが、鉄道員としては申告を受け、対応できない以上警察を呼びことしかできません。歯がゆく感じることもありますが、何もできないのが現実です。

ケンカなどのトラブルにも言えますが、話し合いでお互いが納得し和解できればそれが一番いいですし、警察を呼ぶ必要もありません。
鞄が当たったり、列車の揺れで触れたことで痴漢という申告になることもあります。非常に稀なケースですが、男性からそのような申告があり、女性もたしかにそうだったと男性の主張を受け入れ痴漢ではなく警察を呼ぶ必要はないとなれば、それで解決することもあります。

痴漢冤罪の問題に対しては警察や司法行政にも問題があるように思います。
やっていないが真実でも警察にいけば100%やったことにされるのであれば、「逃げるが勝ち」という話になるのも無理はありません。
他にも冷静に身分を明かし、名刺などを渡し現場を去る、男性側も痴漢冤罪をかけられていると自身で110番通報するといった対応方法も紹介されているようです。

我々が「逃げるが勝ち」を推奨することはありませんし、線路内に逃げることは絶対にしないでください。
鉄道員であっても勝手に安易に立ち入れないようになっています。一般人が線路に入れば直ちに付近の列車を止めなくてはなりません。
立ち入った人の行方がわからなくなれば、まだ線路内にいるのか、フェンスを越えるなどどこからか線路外に出たのか分かりませんから安全確認に時間を要します。

線路内への立ち入りすべてが痴漢の疑いというわけではありませんが、ニュースになるほど発生しています。
本当に難しい問題ですが、社会的関心が高まることで少しでも良い方向にむかえばいいのですが…