い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

東武東上線で脱線事故

2016年05月21日 21時43分26秒 | 鉄道員の愚痴

一昨日の水曜日(5月18日)、東武東上線の中板橋~大山間で脱線事故が発生しました。
原因はまだはっきりしておりませんが、低速だったことや台車枠に亀裂が入っていたことからすると、車両側に何かしらの原因があったことは間違いないのではないでしょうか。
原因の特定は運輸安全委員会による事故調査の結果を待つしかありませんが、おそらく原因は一つではなく複数の要因があって脱線に至る「競合脱線」だと思います。

同じ鉄道員としてみると、事故はあってはならないものですが、根絶することもまたできないものです。ですから、事故が起きない取り組みだけでなく、もし起きてしまった際に被害をいかに軽減できるかという取り組みも必要不可欠なわけです。
今回は、車内の非常通報ボタンが押されたことで早い段階で停止することができました。結果として大きなケガをされたお客さまがいなかったことは不幸中の幸いで、本当によかったと思います。対向列車が手前で停車したようですが、日比谷線の中目黒での脱線事故のように側面が対向列車と衝突していたらと思うとゾッとします。
乗車されていたお客さまは(対向列車を含めて)列車から降りて線路上を歩いて避難したそうです。線路内や列車の恐ろしさを知っている鉄道員としては、お客さまに線路上を歩いていただくというのはできる限り避けたいものです。
車内の座席をスロープ上にしたり、前面にある非常用の階段で降りていただいたようです。私たちはこのような事態を想定した訓練を行っていますが、慣れないお客さまを誘導するわけですからとても神経を使います。もちろんお客さまも初めてのことで不慣れですからケガを防止するためにも不安を取り除いてあげることが必要ですね。

東武東上線は事故現場を含む一部区間で当日は終日運転を見合わせました。運転再開は翌日となりましたが、翌日は始発から平常運転されましたから復旧作業はとてもスムーズに行われたと思います。
影響を受けたお客さまはもちろんですが、対応に当たられた関係者のみなさまは本当にお疲れさまでした。

脱線事故でなくとも駅と駅の間で長時間立往生する事態にはお客さまに降車してもらい線路上を誘導するということは起きえます。当たらないに越したことはありませんが、明日は我が身と思って今夜は取り扱いを再確認してイメージトレーニングをしたいと思います。