年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

みちのく<11>湯殿山

2010-10-14 | フォトエッセイ&短歌
 羽黒山神社から月山神社と続き最後は湯殿山神社である。月山から湯殿山までは僅かの距離であるが、車は通れない。一度平野に戻って122号線を南下し湯殿山有料道路を走って駐車場に至る。
 湯殿山神社参籠所駐車場から修験者の境地に入る神域なのだが、参詣用シャトルバスがガンガンと登っていくので清浄神秘の世界という訳にはいかない。

<湯殿山神社本宮参詣口に建つ朱の大鳥居から、コンクリの道路が頂きに続く>

 湯殿山神社は出羽三山の奥の院とも呼ばれ、五穀豊穣・家内安全の守り神として崇敬される。月山・羽黒山で修行をした行者がここで仏<大日如来>の境地に至るとされる、イレギュラーな神社である。
 谷底に湧出(ゆうしゅつ)する温泉の沈殿物に覆われた岩石の温泉塔を御神体としている。

<写真撮影禁止、土足厳禁という厳しい規制があるが、子供らの声で賑々しい>

 神秘のヴェ-ルに包まれた御神体は、茶褐色の巨大な岩で古来から口外禁止とされ「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められて清浄神秘の神の住み家となっているのだが…。その為に普通神社に見られる、本殿、拝殿などは存在しない。素朴な自然崇拝の原形である。
 裸足になって受付で、お守りと人形(ひとがた)を購入し御祓いを受ける。そして人形に身体の穢れを移して水へ流すのだ。人に語ってはいけない霊場の儀式とか…。
 松尾芭蕉は『おくのほそ道』で「語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな」と詠んでいる。近くに名も知らぬ真っ赤な実が鮮やかに揺れていた。

<2010年・夏の「みちのくシリーズ」はこれにて終わる。次は隅田川・新大橋>


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