年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

シルバー族

2015-09-28 | 俳句&和歌

◇◇◇   シルバー族


 秋晴れが続く絶好の行楽日和に賑わった大型連休が終わった。現役組の諸君、また年末年始の連休までの鋭気を養う事が出来たであろうか。リタイア高齢者は365日連休のようなもので、休日とか、連休とかに心を動かされないが、「敬老の日」が挟まっているので何かあるかと期待したが何もなかった。
 シルバーマークと言えば高齢運転者標識・シルバーパスと云えば高齢者割引・シルバーシート・シルバービジネス・シルバーサービス……云々。なもんで、シルバーウイークは高齢者をいたわるというか、老人を敬う事を啓蒙する趣旨の「秋の大型連休」と思い込んでいたのだが、トホホでした。
 春のゴールデンウイークに対してのシルバーウィークなんだそうです。思えば今どき「敬老」なんて言葉は死語です。高齢者は人口の25.9%の3296万人で4人に1人がシルバーで何かと邪魔者扱いで肩身が狭い。老人ホームに入居しようものならどうなるか分からない。命がけである。悪罵に暴行、放り出されて転落死など川崎の老人ホームの出来事もある。
 年金の切り下げに医療・介護保険の値上げとジワジワと締め付けられている。嗚呼、シルバー族!

 


  シワ深く軽老となり70年GNPを支え来し我ら

  霧雨に天眼鏡を握り締め新聞「歌壇」に友の名探す

 


    フトッひるむ長き踏み切り秋うらら

    葛の花咲く踏み切りに錆つもる 

 

 

※高齢者=平成26年9月総務省統計局が明らかにした 65歳以上
※葛(くず)=秋の七草の一つ


荒れる小学生

2015-09-22 | 俳句&和歌

◇◇◇  荒れる小学生 

 1984年ロサンゼルスオリンピックがあった31年前、「ピッカピカの一年生」のCMが話題となり、入学式の式辞の便利言葉となった。テレビに流れる映像は北から南から、そこら辺りにいる子どもたちがお国言葉で無邪気に戯れる映像に被さって♪ピッカピカの一年生~♪が流れる。
 汚れのないつぶらな瞳、可憐と笑いを誘う爽やかな映像は、そのまま新入生たちの学校生活を象徴するのもので夢と希望を予感させるのに充分だった。「ピッカピカの一年生」が親や教師ばかりでなく社会的にも受け入れられた背景であろうし、小学生はおおよそそんな風に過ごしたものである。
 それから30年、いったい何が起こっているのか。文科省の調査による小学校の暴力行為の実態に唖然とさせられる。とりわけ「ピッカピカの一年生」の問題行動だ。教師の足を蹴る、噛み付いたりイスを投げる、すれ違いざま「死ネ!」「ウゼェ!」と言葉を浴びせる… 
 「荒れる小学生」ストレスや貧困などが原因と指摘されているが、底流には政権の教育管理、過干渉が教育と教育現場を混乱させているのではないか。30年後のモンスター化した小学生を想像するのは何ともおぞましいものだ。

 


  野分去り「ふるさと村」の珈琲店牛追い民謡(うた)をリクエストする

  薄き髪不公平感去りがたく遂に決断1000円床屋

 


   秋はユズ強き香りに儚さも

   吟行や鳴く蜩に赤とんぼ

 

※文部科学省=9月16日、昨年の小学校の「問題行動調査」結果を発表
            (1万1468件あり1年生は5倍の激増)
※野分(のわき・のわけ)=秋の台風の古い呼び名。


憲法違反の恋

2015-09-14 | 俳句&和歌

◇◇◇  憲法違反の恋

 我々凡人には理解が及ばない司法試験の問題漏洩事件が発覚して東京地検特捜部が強制捜査に乗り出した。明治大学法科大学院の憲法分野の問題を作成した教授が20代の女性受験生に問題を漏らしたのだ。それだけならバレずに済んだかもしれないが「かわいがっていた教え子なので何とか合格させてやりたかった」と解答まで添削指導したという。
 余りの完璧な答案に採点委員が疑問を持ち事の顛末が明らかになってしまった。問題をちらつかせる程度にしておけばいいのに、何とも几帳面な憲法馬鹿学者で人間味溢れることこの上もない。「憲法違反の恋」とは尾木ママらしい絶妙の評で感心した。
 司法試験に合格すればいずれ、裁判官・検察官・弁護士になって日本の法曹界を支える人材選抜の第1関門である。
 思えば「憲法」と「憲法学者」がこれほど軽くなった時代はないのではないか。憲法学者が憲法違反だと指摘しても屁のカッパ。憲法には素人の政治家が自分に都合良く勝手に「憲法」を解釈して大見得を切っている。国民の安全を守り、世界平和のために!


 

 コンピューターONの手順を忘れたと退職9年の手書きのはがき

 また今日も5vs2でBの負け向いの席はSumahoが並ぶ

 


   鳴き尽くし極暑に落ちるあぶら蝉

   声もなし山車引く子等もお義理なり


 

※B=Book
※山車(だし)=神社の祭礼に引く御輿

 


無花果の花

2015-09-09 | 俳句&和歌

◇◇◇   無花果の花

 ランチ会のデザートはイチジクのワイン煮である。イチジクを漢字で書けるか、N得意の挑戦に透かさず対応したものだ。花が咲かないのに実をつける果物で「無花果」だろうとテーブルに書いた。Nはニヤリとして漢字は○だけど正解には出来ないという。
 ホークでイチジクのブツブツを開き「これはイチジクの花です。花が無いどころか、1500個位はある」という。江戸時代の初期、ペルシャから中国シルクロードを経て、長崎に伝わったもの。オウ~そうなのか!
  Nの博識には適わない。伝来当時、蓬莱柿(ほうらいし)・南蛮柿(なんばんがき)・唐柿(とうがき)などと、如何にも異国の果物というエキゾチックな名称で呼ばれていたという。
 中学生の頃に教科書か何かで「アダムとイブ」の絵画を見た。「善悪の知識の木」、禁断の果実であるリンゴを食べてしまったアダムとイブは、自分の裸に羞恥心を抱きイチジクの葉で体の一部を覆ったとあった。あのイチジクの葉をどうやって着けたのか、落下する事はなかったのか、そこが問題だ。悩み深き年頃であった。
 旬を迎えるイチジク、ペルシャに想いを馳せる蓬莱柿、無花果は自然の甘味・香り・舌触りと生食に限る。


 検査結果「数値出るまで お時間を」本を開くも活字が逃げる

 心地よきリップサービスと知りつつも案外この人目が利くのかと


  無花果の波斯の隠微な甘味あり

  蝉の音も余炎も流す細雨かな

 

※波斯(はし)=ペルシアの漢字表現
※隠微(いんび)=外に現れず、わかりにくいこと
※細雨(さいう)=細かい雨、小糠雨


エンブレム

2015-09-05 | 俳句&和歌

◇◇◇  エンブレム

 五輪エンブレム、オリンピックの権威と華とテーマを象徴するマークで水戸黄門の印籠のようなものであろうか。既に都庁や協賛企業が使用して新国立競技場の白紙撤回の汚点を取り返そうとしていた矢先の珍事である。
 ソックリさんのいることが判明して驚いて撤回したというならあり得る事で理解できる。しかし、選定段階で類似デザインがあることを把握したが、「修正」すれば問題なしと採用に踏み切っている。つまり、修正の必要性があるほどの類似性を認識していたのだ。
 「模倣や盗作」の声が上がるだろうが、それは一蹴出来ると高を括ったのである。それにしても、空港での活用例などはソックリさんどころか、本人そのものである。
 このところ、連日、佐野氏制作のデザインのソックリさんが続々と出てきてソックリさんオンパレードである。こうなると、五輪エンブレム、模倣(マネ)盗作(パクリ)ではないと言っても強弁としか聞こえなくなる。
 使用中止を受け、東京都庁に掲示されている東京五輪・パラリンピックのポスターをはがす職員の映像が映し出されている。競技場とエンブレムの白紙撤回、すでに億単位の金が使われたいう。責任を有耶無耶にしてはならない。経済産業省は損害の実態把握に乗り出した。


  縁側で種飛ばしつつ丸かじりそんなスイカの時代懐かし

  責任は三者三様有耶無耶に「甘えの構造」お国の文化

 


   夏去らず青柿揺れて秋を待つ

   秋風に散りし恥ずかしエンブレム

 


※『「甘え」の構造』=土居健郎著 「甘え」は日本人特有の感情だと定義
※有耶無耶(うやむや)=有りや無しや。はっきりしない