年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

車を止めてはいかん!

2016-04-08 | 俳句&和歌
◇◇◇   車を止めてはいかん!

 仙台からの帰り、通行可能になった「原発銀座」と呼ばれる福島県の浜通り(国道6号)を走る。帰還困難区域の双葉町、大熊町等は自動車のみで歩行、自転車、バイクは禁止されている。
 些か緊張する。信号は黄色の点滅だけである。左折すれば放射性物質の元兇・福島第一原発が在る太平洋岸に通じるのでバリケードで封鎖され警察が監視している。赤も緑もない徐行前進の黄色だけとなる。
 街道は地震によって半壊した建物、生活痕の無い家屋が不気味に続く。空き地はセイダカアワダチソウが占拠、田畑はアシや雑草が生い茂り荒れ放題である。所々に除染で出た土や草木、瓦礫を詰めたフレコンバッグ(汚染土袋)が大量に放置されている。
 中間貯蔵施設が無いので野晒しである。政府も電力会社も自治体も無責任無策無頓着の極まりで、フレコンバッグには穴の開き始めた物もある。「帰りたい 帰れない」この街の復興再生はあり得るのか。
 看板が垂れ下がり空洞の窓が連なる「原発街道」を物語っているような建物が目に入る。車を止めて窓からデジカメを差し出したらパトカーがサッと寄せて来て追い払われる。警察車輌が滅多やたらと走って警備を強めている。何を警戒しているのか。
 SAで入手した地元の地図には原発は載っていない。観光庁の立派な『常磐道沿線マップ』には小さな薄い文字で第一原子力発電所と申し訳程度に記されている。事ここに至って何を隠そうとしているのか。「見せるな・聞かせるな・言わせるな!」政府は机上の安全基準文書を積み上げて原発再稼働を進めている。
 
 
 
 
  原発を地図から消して風化させゾロリ舌だす原発利権
 

  騒ぎ過ぎと炉心溶融そのままに性懲りもなく再稼働する

 
  あてのない汚染土袋が累々とセシウム放ちて野晒しのまま

 
  災害の復興果たした街あれど原発銀座は人影がなし
 
 
 
 
 
     逃水や廃屋隠す浜通り
 
     ゆきゆきて6号線は街おぼろ
 
     バリケード被曝の街の春愁や

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