北国はいまリンゴの花が盛りである。遠くから見ると柔らかな緑の中に白く浮き立っているが、近づくと淡いピンクが何とも清純である。とりわけほころびかけるふっくらとした蕾のピンクは透き通るようである。
美人薄命。りんごの花の命は長くはない。満開になると花を摘む「摘花(てきか)」という作業が行われ、無惨にむしり取られてしまう。リンゴを確実に果実として実らせるために花を間引くのである。
<アダムとイブが食べた「知識の木」の実はリンゴ(禁断の木の実)とされる>
リンゴの歴史は古く、平安時代に中国から渡来して以来「和りんご」として親しまれてきた。小さくて硬く、渋味があるとか。現在のリンゴは「西洋リンゴ」で、明治元年に北海道七飯町で栽培されたのがルーツだという。その後、青森県で病害抵抗性、食味、収量などの絶え間ない研究が進められ、品種改良が加えられ、現在迄に約8000以上の品種が栽培された。
リンゴは自家結実性が低いので、ミツバチを500mごとに4~5群おいて交配させるのであるが、ミツバチが激減し人工授粉の対応に大わらわである。
<北国の冷夏予報とミツバチの減少で今年もりんご園は対応に追われている>
リンゴ園の近くで目がの覚めるような屋敷の庭先が展開した。リンゴ御殿でもあろうか。北国の春は桜と梅が一緒に咲くというが、すでにその時期は終わった。若葉に混じってツツジにミズキにレンギョ、そして燃えるようなヤツデ(?)が輝いている。
<北国の春はせわしい。冬が終わると一気に初夏が訪れる>