年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

アスタリスク付き4527

2016-06-22 | 俳句&和歌
◇◇◇◇    アスタリスク付き4527
 マイアミ・マーリンズのイチロー外野手がサンディエゴ・パドレス戦で 日米通算4527本目となる安打(二塁打)を打ち、記念に二塁ベースをプレゼントされるという快挙を成し遂げた。日米球界の関係者やファンはその偉業を讃えている。
 ピート・ローズのメジャー最多の4256安打を上回るという気の遠くなるような超越する記録だ。ところが「日米通算」を「どう評価するか」でややこしくなっている。『ニューヨーク・タイムズ』はイチローがローズ氏を抜いたというタイトルに「ただしアスタリスク付き」と*添え、イチローの4527は参考記録扱いと云うニュアンスで紹介した。
 ローズ氏は「日本のプロ野球とメジャーリーグではレベルが違う」「日本の野球はハイスクールレベル」と云い、NPB1278本の合算を見当違いと否認する。これに対してイチロー派は日米の安打に相違はなし<NPB1278本+MLB2979:スタンディング・オベーション>で沸き立った。
 ネットでは「野球賭博で球界からの永久追放処分で殿堂(アメリカ野球殿堂博物館)入りも出来ないくせに偉そうな事云うな!脱税と虚偽申告罪で懲役5ヶ月、罰金5万ドルの実刑判決を受けただろう!」そんな過去の負の所業まで持ち出すファンもいる。
 実はイチローも記録達成後の会見でローズが喜んでいないということを耳にしているし、日米通算である事も自覚し「だから僕も興味がないっていうか……」と言葉を濁している。
 メジャーリーグもローズ氏が活躍していた頃とは環境もルールも変わっているし、日米のベースボールの文化も違う。という事を前提に4527本は語られるべきだし、日米通算安打記録として讃えられれば良いのではないか、というのが率直なところである。
 ところでイチローが所属しているマイアミ・マーリンズは日本では知られていない。それもそのはず、メジャー30球団中、日本人選手が所属したことのない球団が2つあって、そのうちの一つがこの球団である。さらに云えば観客動員がメジャー30球団中29位(2013年)と散々のチームでもあった。
 諸般の理由は云われているが、メジャーの花形プレイヤーだったイチローがこういう球団でプレーしている強靱的な人間性の強さは凄いものである。すでに、最古参の42歳。ガンバレ イチロー! メジャー通算3000本安打で殿堂入りも今一息である。これならピート・ローズも脱帽するしかあるまい。
 
 
 
     短夜の試合終りて酒尽きる

 
     議事堂も疲れ果てたか半夏雨

 
     マイアミのサボテン熱くイチローや



 
※半夏雨(はんげあめ)=半夏生に降る雨、梅雨のちょうど真ん中ころ。

6日間のサバイバル

2016-06-08 | 俳句&和歌
◇◇◇◇    6日間のサバイバル

 七飯町の林道で田野岡大和君が行方不明になったと父親から函館中央署に届け出があったのは5月28日の夕刻である。翌日から捜索が始まったが手掛かりが掴めず、警察や消防に加え馬、警察犬、自衛隊を投入するなど200人態勢で本格的な捜索が続けられた。
 自衛隊の専門的な捜査でも足取りは杳として分からず痕跡も発見出来なかった。「山菜採りではぐれた」から「しつけのために、置き去り」にしたと嘘の発言も報道され「ナゾ深まる」「虐待か」などのコメントが出始めた。
 遂に五日目には捜索態勢の縮小が発表さたが、異論は出なかった。生存の可能性は限りなくゼロ、食べ物を持たずTシャツ一枚の7才の子どもが五日間も生存しているとは考えられなかったからである。
 ところが、6月3日の朝、陸上自衛隊駒ケ岳演習場でマットにくるまっている大和君が隊員によって発見された。それは、消防・警察・自衛隊・地元ハンターなどいわばその道の練達の士たちの想定外の場所であった。
 置き去りにされ、涙を流して方向感覚を失い、車を追いかけたつもりが反対の山側に向かったのだ。木の生い茂る上り下りの山道を10キロも彷徨い歩いたのである。そして、動かないで待っていればきっと助けに来ると信じて水を頼りに暗闇の夜を過ごしたのである。偶然というより「すさまじいサバイバル能力」と自衛隊員が舌を巻いたという。
 元気で発見されたのは奇跡中の奇跡、目出度しメデタシであるのだが、自衛隊のセキュリティチェックの甘さを指摘する声が出ている。
 実は、「廠舎」(しょうしゃ)の「カギを閉め忘れ」ていたので大和君は難なく施設に侵入できたのである。自衛隊第11旅団の担当者は「施設管理上の不手際」と謝罪している。更に「30日の舎内点検時に誰の姿も見なかった」と言うが、規定通りにチェックしていたのか、という疑問符である。
 まあ、何とも!……「キチンと施錠されていた」ら小屋に入れなかった大和君、「キチント点検されていれ」ば30日に発見されていた大和君。
 
 
 

     舛添の歌壇賑わす「不適切」ネタは尽きまじせめての功徳
 
     シナリオを越えし6日のサバイバル「父さん許すよ」7歳は清し
 
     緑陰の帰れコールが地を揺らし毛虫が落ちてヘイトデモ止む


 

       時の日やこまめに水と予報士や
 
       梅雨めいて和酒か洋酒か思案時
 
       ヘイトデモ毛虫の落ちて中止せり