年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

昭和は遠く

2016-02-25 | 俳句&和歌

◇◇◇   昭和は遠く
  横須賀市内の戦没者遺族でつくる横須賀遺族会が、2015年度限りで解散した報道があった。戦後70年、会員の減少が進み「犠牲者を慰め平和を祈念する集い」などの出席者も僅かとなり、会を存続して行く事が困難になったからとある。
 現在、56団体が加盟する県遺族会の会員は1万3千人で平均年齢は75歳。「こうした高齢化が進み解散する地域で出てくる」と指摘する。靖国神社に昇殿を許されて参拝する遺族、閣僚の参拝で大騒動、自民党の大票田…遺族会の支部も曲がり角に来ている。
 昨年の秋、福岡県遺族連合会(古賀誠会長)が東条英機元首相らA級戦犯14柱をの靖国神社から分祀するよう求める決議をした。これに賛同する意向を示したのが神奈川県遺族会である。反対を表明したのが北海道・兵庫県両遺族会である。
 決議の理由は「天皇皇后両陛下、全ての国民にわだかまりなく靖国神社を参拝していただくため」とし「遺族が元気なうちに実現したい」と説明している。
 これに反対する団体は「これは、反日左翼陣営が提起した靖国神社のA級戦犯分祀論である。我が国には戦犯は存在しない」と言い「毒餃子と同じくシナ原産のものです。問題は国内に、毒餃子でもよいからシナのために日本が中毒すればよいという勢力があり、シナに呼応していることです。古賀誠はその一人だ」「福岡と神奈川は売国奴!日本の敵、日本から出て行け!」なんとも…
 反戦平和のモニュメントの象徴として静かに誰もが戦争を考える場所にならないのか。

 

  繋がろう「絆」のポスター陽に灼けて薄れ忘れる仮設と共に


  立法府かしまし娘の丸川に島尻高市参戦丸山

  往還の旧道矢じるし歴史めく陣屋横町はカギ十字路なり

 

 

     陽炎いて白きチョゴリの九段坂


     ざわめいて鳥居をこえる春塵や


     大凶を引き当て結ぶ春の夕


ゲスの極み

2016-02-11 | 俳句&和歌

◇◇◇  ゲスの極み

 安倍内閣の最重要閣僚の一人、甘利経済再生担当相が辞任した。建設S社が道路建設をめぐり独立行政法人都市再生機構(UR)から2億2000万円以上の補償金を引き出した。その口利きの心付けとして甘利側に1200万円を渡したという。
 甘利明氏自身も金銭授受を認めて辞任に追い込まれた。
 未だ詳細は不明だが「あっせん利得処罰法」違反、「政治資金規正法」違反、刑法197条1項以下の「収賄罪」にも当たるとも云われる。庶民には実感が湧かない。大臣の禁じ手で野党は安倍総理の任命責任と真相究明を迫っている。
 自民党内では青天霹靂、何故こんな事態を迎えたのか、某週刊誌への疑念と怨嗟で充ち満ちたであろ事は想像に難くないが、確固たる証拠が揃っているのでどうしもない。山東昭子派閥会長は「(週刊文春に)告発した事業者のあり方は<ゲスの極み>」と記者団に語ったという。
  現職の参議院議員で自民党の派閥の領袖を務めている「先生」の発言としては余りにお粗末である。甘利氏に猛省を迫り「政治と金」の問題を糺していくと云えないのか。
 未だ検察は動いて無いが、極めて犯罪性の高い事件である。山東先生「ゲスの極み」ですよ!

 

   去年今年如月待ちて一株のボケることなく木瓜は花ひらく

 

   質問にならぬ自民の質問に嬉々と改憲語るは総理

 

   マスコミをシャブ漬けにして袴穿きTTP署名密やかに終わる

 

 

     三分咲き梅の古木は匂い立つ

 

     恵方巻き豆撒きまでも食い尽くす

 

     麦踏みの語感懐かし句のありて

 


※下衆の極み(げすのきわみ)=この上なく下劣で品性が卑しいさま、人として最低であるさま(実用日本語表現辞典)


夢のまた夢

2016-02-03 | 俳句&和歌
◇◇◇   夢のまた夢

  昨年の暮れに栃木市役所のエレベーターで年末ジャンボ宝くじ2000枚(購入価格60万円)が入った袋を拾った60代の女性が市に届け出た。袋には「宝くじが当たったら、大雨災害の被災者に使ってください」と鈴木俊美市長宛のメモが入っていた。
  1等・前後賞合わせたら史上最高の10億円である。カンパ60万円では話題にもならないが『捕らぬ狸の皮算用』とは云え大きなニュースになる。栃木市内の濁流による被災地の映像が目に焼き付いていて「何とか1億でも」と思わざるを得なかった。夢を仕組んだ御仁に拍手であった。
 ところがである。市は宝くじを警察に、警察は拾得物として持ち主を捜したという。持ち主が現れない場合は栃木県の収入になってしまう(警察は県知事の所轄下)。
 その事を知った女性は「実は自分が購入して置いた」と名乗り出たため、宝くじは女性に返還された。女性はあらためて栃木市に寄付したという。「遺失物法」の為せるワザで、もし10億円当たった宝くじを市が使っていれば「遺失物横領罪(刑法254条)」に問われ事になるのだそうだ。
 市が組・番号を確認したところ<当せん金は、5等3000円が20本と6等300円が200本の計12万円>だった。鈴木市長は「残念ながら何億円は当たりませんでしたが、大切に使わせていただきたい」と神妙に話している。
 10枚3000円で1等7億円をゲットしようとキリキリしている筆者にとって60万円は気の遠くなるような数字である。結果はトホホッ12万円!余りにリアル過ぎて、お粗末な一席に!
 
 
 
  ジャンボくじ「当たらないよ」と云いつつも密かに買って念力込める
 
  耳遠く話半分だけれども相づちうまく前後をつなぐ
 
  往還の旧道矢じるし歴史めく出会い求めて歩く歩けも

 
 
 
    初夢や夢にもならず覚めにけり
 
    風花に「紅茶タイムか」何となく
 
    如月の宙掻き混ぜる老冬木


 

※往還(おうかん)=主要な道路。街道
※如月の宙(きさらぎのそら)=2月の空