原発事故の収束宣言が出されてから1年が経つが、事態は悪化の一途である。原子炉の危機的状況は不明で避難している元住民の帰村の目途は全くたっていない。冷却汚染水の処理が出来ず海に流失していた事も判明した。それでも原発再稼働は政府の方針として強引に進められている。
あれこれの理屈を並べても「原発は原爆」で稼働はするべきではないし、廃棄するしかないのである。原発廃止、脱原発を基本国策として叡智を結集すれば不可能ではない。電源を自然再生エネルギーに転換する国家プロジェクトを立ち上げて電力を確保していくのである。
太陽光・風力などは風景としても知られて来たが地熱発電も火山国日本の魅力的な電源エネルギーである。仕組みは簡単で地下から噴き出す熱水と蒸気でタービン発電機を回転させ電気を発生させるというものある。いわば火力発電のボイラーの役目を地熱(地熱貯留層)が果たしている。
まあ、ここまでは素人にも理解出来るが、地熱発電が環境に特段の優位性を持っているのは何かとなると分からなくなる。実は復水器という装置があってタービンを回し終わった蒸気を水に戻し還元井(かんげいせい)を通して地下に戻すのある。つまり地熱は仕事を終わると地下に帰り、再び熱水となって蒸気を噴出するという半永久的に得られる電源なのである。
鬼首地熱発電所を見に行ってが、工事中とかで中には入れなかった。守衛のおじさんがスミマセンネと言ってパンフを渡しに来てくれた。パンフレットには「地熱エネルギーの有効活用は第4の発電方式として今注目を集めている。現在、全国に200ヶ所以上の地熱地帯があり、およそ2000万キロワットの資源が存在すると」
鬼首地熱発電所は宮城県の鳴子温泉のさらに奥まった深山の中にある。深い緑に中に蒸気が白絹のように地下のエネルギーを噴出させていた。
仕事を終え蒸気を地下に戻すための復水器を望む
山深き峠の雨滴は佇みぬ奥羽山脈分水嶺なり
緑濃き樹上揺るがす真っ白の蒸気噴きあぐ地熱発電所
夏深し緑も重し峠越え地図なき道も日本海に至る
地獄谷入れば蝉の音消え絶えて硫黄の匂い炎暑に籠もりて
原発を圧倒するのか噴煙はマグマの怒りか地底の幸か
鬼首地熱発電所は深山なりマグマの蒸気は地球の呼吸か