年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

過ちては則ち改むる

2013-11-16 | フォトエッセイ&短歌

 小泉元首相の「原発ゼロ」発言は「想定外」の珍事で政界を揺るがしている。
 安倍総理の政治の師匠が小泉元首相であることは自他共に認めているところで、その政治手法は直伝である。原発推進・再稼働を進める弟子の安倍総理にとっては誠に迷惑な発言となった。政権は「原発の依存度を縮小していく政策」と小泉元首相の「脱原発の構想」は大局的には一致していると丸め込もうとしていた。
 ところが12日の日本記者クラブの講演で「原発ゼロで、自然を資源にした国家」をつくる政治決断をするべきだ、と安倍総理に向かって、小泉節を炸裂させ、自民党執行部の丸め込みを一蹴してしまったのだ。世論の根強い「脱原発」の高まりが背景にあることは間違い無いが、メディアは「小泉劇場」の真意を計りかねている。
 しかし、彼のゼロ発言の根拠は極めてシンプルで解りやすくもっともなのである。トイレのないホテルが存在出来ないのと同じように、「ゴミの処理が出来ないし、棄てる所もなし、リサイクルが出来ない」以上、ゴミを出す施設を閉鎖するしかないというのである。プルトニウムの半減期は2万4000年である。
 原子炉から出る高レベル放射性廃棄物処分場は結局のところ地中に埋めるしか無いのである。彼はフィンランドにある核廃棄物の最終処分場「オンカロ」(フィンランド語で「洞窟」「隠し場所」)を財界のトップと見学に行っている。その馬鹿げた規模の施設に10万年にわたって封じ込めておくという処理方法に疑問を持ったというから、それなりの根拠をもっての発言であろう。
 現職の頃は「原発推進」ではなかった?記者質問に『過ちては則ち改むるに憚ること勿れ』と切り返した。(過則勿憚改=孔子が弟子達に「君子」の心得を教えた言葉とされる)大意は~自分が誤っていると悟ったなら、躊躇なく、すぐ改めるべきだ。体面や人のおもわくを考えて、改めるのを恐れてはいけない。
 福島第一原発の放射能処理が出来ず、避難している被災者の帰村や暮らしの目途さえ立っていない現実をみれば、原発再稼働はすべきではないし、原発ゼロの観点で電力問題を検討していかなければならい。

各地で紅葉が始まる。放射能汚染のない秋を迎えたい。

   

  雨降れば汚染水あふれ風吹けばセシウムが飛ぶ陸奥の秋
  
  五輪呼ぶプレゼン安倍の虚騒ぎ制御不能の原発の危機に

  十三夜取ったり掛けたり肌掛けを真夏日襲う読書週間

  山萩の零れるにぎわい秋暮れる足柄山の紅葉前線

  谷戸田では田仕事仕舞う秋されに藁焼く煙安らぎ漂う