年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

陽射し<4>春告草

2010-03-08 | フォトエッセイ&短歌
 梅の花、別名の一つに春告草(はるつげぐさ)というのがある。梅園の霞のようにたなびく白梅の様は春の訪れを確かなのもにすが、路地を歩いていてどこからともなく密やかに漂ってくる梅の香にも季節を感じる。古武士の鎧を思わせるゴツゴツした幹に清楚な透き通る花びらが清々しい。
 幹のゴツゴツには理由がある。「桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」と云われるように、桜は伐ると切り口から腐敗してしまうが、梅は切り詰めない樹形が雑然となり、実の付き方も悪くなるという。
 屋敷から小枝を差し出した風情ひとしおの雨に濡れた紅梅が可憐だ!

<しかし、ご注意。青い果には青酸配糖体が含まれ痙攣に陥る有毒性があり>

 「東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」  菅原道真(すがわらのみちざね)が大宰府に左遷されるとき、道真の愛した庭の梅の花に別れを惜しんで詠んだ歌として有名である。聖徳太子の頃、中国から伝えられ奈良時代には花と云えば梅を指すまでにもてはやされた。万葉集では梅に関する百首以上が詠まれているという。
 花の観賞ばかりではなく、梅干し、梅酒、梅酢やジャムなどの飲食用。健胃、整腸、駆虫、止血、強心作用などの漢方薬としても重視されている。更に、江戸時代には、各藩が非常食として梅干を作ることを奨励したため、梅林は全国に広がっていった。

<梅の字は木に「母」。中国ではつわりのときに梅の実を食べる習慣があるから>

 梅の花が何だかんだ云っても、マア「花よりダンゴ」です。花を背に弁当を開くカップルさん。このところの天候不順で晩冬の陽は貴重なもので土の感触を楽しんでいるか。

<モグラの出現も始まった。黒土の小さな山が緑の雑草の中に築かれている>


最新の画像もっと見る

コメントを投稿