年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

横行結腸

2012-03-01 | フォトエッセイ&短歌

 人間ドックの超音波検査の結果、大腸内視鏡検査を受ける事になった。検査で数個の大腸ポリープが発見され、組織を採取し病理検査を行ったところ悪性腫瘍(癌腫)であることが判明した。
 大病で入院するという経験が無かったので、ガン(横行結腸癌)の診断には些か慌てたが、無症状で自覚症状がなく、医師の「いずれ取るが、急ぐことはない」と長閑な対応だった。そこで、私も長閑に「60を越えているけど、放置した場合はどうなるのか」と問うと「やがて肺、肝臓、リンパ節に転移し苦しんで死ぬこと請け合い。手術は想像しているより簡単です」との返事が返ってきた。                
 手術後の復帰の準備期間が必要と考えて夏休み直前の2003(平成15)年7月に手術をする事にした。術名は腹腔鏡併用結腸切除術及び胆嚢摘出術である。いわゆる、開腹しないで行なう内視鏡手術である。ヘソの上部に穴を開け、そこから大腸を引き出し病変部位を切除するのである。この方法は腸管同士がうまくつながり、縫い合わせにミスが無ければ手術創が小さいので回復は早い。
 私は10日目には退院し、普通食で杖を片手に歩け歩けを励行した。退院時の医師の指示であったが、腸を切断して、こんなに歩いて良いものかと心配したものである。が、この有酸素運動に効果があったのか、術後の経過も良好で1ヶ月後の健診で「心配なし」のOKが出た。再発の8割以上は術後3年以内、5年以上再発しない場合が完治の目安だともいう。回復祝に帰りには熱燗1本をしみじみと味わった。3ヶ月後には晩酌をやったからアルコールは悪くはないのかも知れない。
 その後も大腸内視鏡検査の度に複数のポリープを切除して来たのではあるが、悪性腫瘍には至っていない。今年は術後9年目、何処かにガンが潜んでいるかも知れないが、横行結腸癌に関わる再発は無いだろうと考えている。
 古稀を迎え、来年のポリープ検査はどうしたものかと、ふと、改めて病院を振り返る。

<世話になった病院だが、余り行きたくない所だ>

  モニターにオレンジ色に輝きぬ見事なポリープ医師称賛す

  手術終え点滴の管ボンヤリと動くを知って昏睡に入る

  人生は五十年だよと癌が云う後は付録だと私が応える  

  七階の窓を数えて思い見る行きたくもなし懐かしくもあり

  もういいか再発もなく古稀迎え肩身も狭し高齢者社会


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