年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

冬枯れの刻

2008-01-21 | フォトエッセイ&短歌
 大寒(だいかん)である。暦の季節と実際の寒暖とのズレは大きいが「大寒」に限っては体感的にも統計的にも風景としてもピッタリとくる。各地で最低気温を記録するのは「大寒」からの10日間である。寒さの峠である。
 久しぶりに白堂翁の墨痕をお送りしましょう。

    
    日本             中国       
     初候  蕗のとう花咲く   鶏乳(鶏卵を産む)
     次候  水沢厚く堅し    征鳥疾(渡り鳥はげしくはやし)
     末候  鶏とやにつく    水沢腹堅(すいたくふたたびかたし)
  (白堂二句)
     靴音の気忙しくなり七草粥
     連山を映して青し枯れ野かな 

 暖冬とは云え「大寒」冬本番となり、遅かった秋の枯葉がカサカサと転がって行く。空っ風の時期でもあるが、それ以上に猛々しいのはビル風である。吹き抜けるというものではなく、吹き降ろし、吹き揚げる乱気流を引き起こす。
 雨後のタケノコのように天を突く高層ビルラッシュに湧く再開発の余波をもろに受けるようになった。風の冷たさに首を縮めるのも季語として詩にもなるが、この風害はシャレにもならん。
 北風小僧の寒太郎も出そびれているのではないか。寒太郎を求めて冬枯れ(冬に草木の葉が枯れている寂しい眺め)の野に出向く。

<樹間に陽が隠れようとしている。幽かな陽が沼に最後の光を留めている>


 冬枯れの寒中ではあるが、春遠からじの希望もふくらんでくる。季節病カレンダ-によれば文明が進むほど病気は冬季に集中する。例えば脳卒中による死亡率は大寒前後がピークとなる。
 そう言えば、濃緑の葉に映えるアオキの赤い実は春の訪れを予感させる。薄暗い環境でも生長する陰樹で赤の輝きはヒヨドリを引き寄せる作戦だそうだ。別名:トウヨウサンゴ


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