年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

冬遠からじ<4>囲炉裏

2010-12-13 | フォトエッセイ&短歌
 浄土教では死後、阿弥陀如来(あみだにょらい)のおわす極楽(ごくらく)浄土(じょうど)に生まれ変わる(極楽往生の思想)とされる。権勢を持った貴族が極楽浄土を具現しようと盛んに阿弥陀堂を建立した。平安時代の遠い昔の事である。
 近年では「阿弥陀堂だより」が思い出される。2002年10月に封切られた小泉堯史監督の映画である。原作は芥川賞受賞作家の南木佳士の「阿弥陀堂だより」。東京の暮らしに疲れ果てた一組の夫婦(寺尾聰・樋口可南子)が、大自然の暮らしの中で再生していく姿を描いたヒューマン・ドラマ。北林谷栄扮する阿弥陀堂で暮らすウメばあさんと小百合(小西真奈美)の関係が何とも言えない。

<雪が降ると山と里の境がなくなり白一色になる。うめ婆さんも鬼籍に入る>

 高蔵寺阿弥陀堂の隣に国の重要文化財の指定を受けた旧佐藤家家屋がある。江戸時代中頃の建造物で仙台領の中核農家(本百姓)の典型と認定された。昭和47年に此の地に移築・復元された。
 東北の農家らしい重々しい造りで、太い粗削りの柱は、鳥居建てという古式の構造であり、木材の曲がりを巧妙に利用した柱や梁が目前に迫って来る。

<屋根は寄棟造りの茅葺。東北の風雪に耐えた農家らしくどっしりと重々しい>

 農家の基本的な間取りの1つである広間型三間取りの単純な構成で、土間が全体の4割を占めている。藩の禁止令により天井は設けられず、太い荒削りの柱は鳥居建てという古式の構造で、木材の曲がりを巧妙に利用している。
 間取りは、長方形の建物を4分6分に区別し、右4分は土間一室、左6分は三室の居室部で、囲炉裏(いろり)のある「ひろま」と奥に「なんど」・「なかま」二室を構えている。国重要文化財に指定されている。

<拭き込まれた板の間に障子の明かりが時間を止めてゆったりの伸びている>