年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

風薫る<9>飛不動

2010-06-08 | フォトエッセイ&短歌

 青根温泉から蔵王連山と遠刈田温泉を結ぶエコーラインに出て温泉街に向かう。道路脇に不動様が仁王立で旅人の安全を慈しんでいる。不動様(不動明王:ふどうみょうおう)は宇宙万物の最高神:大日如来(だいにちにょらい)が私たちを護るために姿を変えて現われたものである。
 それにしては何ともケッタイな恐ろしい姿をしている。特徴的なのは背中の炎で、迦楼羅焔(カルラエン)と言う鳥だ。炎の姿をした鳥で毒になるものを焼きつくし不動明王を守っていると云われる。

<悪魔の降伏のために恐ろしい姿をしているが優しい慈悲に満ちた顔だという>

 蔵王不動から七ヶ宿街道(国道113号線)の奇岩景勝地である材木岩のある白石市小原に出る。ここに天正19年に伊達政宗が建立したと伝えられる「飛不動」がある。昔、堂が火災に見舞われた時、不動明王は自ら飛出し、裏にあった岩窟に避難した。奇跡的に傷ひとつ負追わなかったので、霊験あらたかな「飛不動」として多くの崇敬をあつめるようになった。
 災難厄除のほか良縁、子宝、家内安全にもご利益があり、8の付く日に参拝すれば願いが叶うという。

<不動様が右手に持っている剣は利剣。迷いや邪悪な心を断ち切りると云う>

 不動明王を動物で現すと竜、物ならば両刃の剣、色ならば金または青黒となる。特に両刃の「剣」は敵を断ち切りるという事で強調される。そんな事もあってか、明治維新後は身代り不動明王として出征者の武運長久を願う人々の参詣が絶えないようになった。
 また、現在は「空を飛び来て、衆生を守り給うお不動様」という事から「飛行機の神様」と云われ、空の交通安全と道中安泰を祈願する人たちで人気のお不動様となっている。パイロットが航行祈願で飛不動に参詣すると云うのが面白い。転じて「落ちない」という拡大解釈から受験生にも人気で天神様と張り合っているとか!
        

<「飛不動尊」も時代と場所で、あちらこちらと飛ぶのでお忙しいようですナ>