年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

風薫る<8>青根郷

2010-06-03 | フォトエッセイ&短歌

 青根温泉(あおねおんせん)は、蔵王連峰東側の山腹(宮城県柴田郡川崎町)にある温泉。泉質は弱アルカリ性単純温泉で無色透明でぬめりやクセがなく、肌の上をサラサラと滑るような感触が特徴である。効能は日本全国どこでも同じような神経痛、腰痛、眼病、リウマチ、胃腸病など万能!


<ひなびた温泉郷は新緑の山間にある。若葉の広がる音が風となって流れる>

 青根温泉は戦国時代(1528年)川崎領主だった佐藤掃部の発見による。ガイドによると、アオヌキの古木の下から湯が沸いていたことから「青根」の名前がついたと伝えられている。以来、500年の長い歴史を誇る。江戸時代には仙台藩伊達氏の御殿湯が置かれ、湯元不忘閣は仙台伊達家の湯治場とされ青根御殿と呼ばれたとか。(アオヌキの木がどんな木なのかハテナ?)
 

               
<不忘閣の中庭に聳える青根御殿。ヤッパリ殿ともなると豪華な風呂場だのう> 
 
 青根温泉には古賀政男メロディ発祥の地として「影を慕いて」の歌碑が立てられている。なんでも失意の中で青根の雑木林をさまよっていて生まれたのが「影を慕いて」だという。その記念館「青根洋館」が建てられ、懐かしい古賀政男の直筆の手紙やレコードのジャケットなど資料が展示されている。
 古賀の人生はまさに波瀾万丈である。時代の流れにのれず、その絶望から、青根温泉で自殺を図った。昭和3年の夏である。そのときに蔵王にかかった夕焼けを見て『影を慕いて』の一片の詩が浮かんだという。

<君故に 永き人生を  霜枯れて 永遠に春見ぬ  我がさだめ
        永ろうべきか  空蝉の  儚なき影よ  我が恋よ>